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この項目では、ギリシア神話の人物あるいは女神について説明しています。現在のリビアにあった古代ギリシア都市については「キュレネ」をご覧ください。 |
- キューレーネーの系図
(ピンダロス『ピュティア祝勝歌』第9歌)
キューレーネー(古希: Κυρήνη, Kȳrēnē)は、ギリシア神話に登場する人物あるいは女神である。長母音を省略してキュレネとも表記される。狩人であり、アポローンの恋人となり、アリスタイオスを生んだ。ペラスゴスの妻のキュレーネー(Kyllene)とは別人。
神話
キューレーネーの父は、ラピテース族の王ヒュプセウスで、河神ペーネイオスとナーイアスのクレウーサの息子[1]。母は、ナーイアスのひとりクリダノペーである[2]。キューレーネーは家事労働より狩りを好み[3]、アルテミスから2頭の猟犬を贈られたという。カリマコスの説では、メーデイアがペリアースを謀殺したときの葬礼競技で徒歩競走に勝ったのはキューレーネーであったとする。
あるとき、ペーリオン山の山中で狩りをしていたキューレーネーはライオンと遭遇し、格闘の末これを殺した。たまたまこれを見たアポローンは大いに驚いて、ケイローンを呼んで相談した。ケイローンはアポローンの恋心を見抜き、望みどおりキューレーネーを妻とするよう助言し、キューレーネーは神の子を身ごもるであろうと予言した。アポローンはキューレーネーをさらって黄金の車に乗せ、北アフリカのゼウスの庭園に連れて行った[4]。
二人はリビアでアプロディーテーに迎えられ、この地でキューレーネーはアリスタイオスを生んだ。後年この場所にキューレーネー市が建ったのは、このことにちなんでいる。アリスタイオスの飼っていたミツバチが死んだとき、キューレーネーは原因をプローテウスから聞き出すようアリスタイオスに助言した[5]。
キューレーネーは、そのあともう一人アポローンの子イドモーンを生んだ。イドモーンは予言者で、アルゴナウタイの一人となった。イドモーンの子テストールは[6]、トロイア戦争においてギリシア側の予言者として知られるカルカースの父である[7][8]。
また、キューレーネーはアレースと交わって(トラーキアの)ディオメーデースを生んだともいう。ディオメーデースは人食い馬を飼っていて、ヘーラクレースの8番目の功業のときに殺された[9]。
系図
脚注
- ^ ピンダロス『ピュティア祝勝歌』第9歌13行-18行。
- ^ ロバート・グレーヴス、82章a。
- ^ ピンダロス『ピュティア祝勝歌』第9歌18行-19行。
- ^ ピンダロス『ピュティア祝勝歌』第9歌26行-53行。
- ^ ウェルギリウス『農耕詩』4巻530行―547行。
- ^ 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』p.53a、160a。
- ^ 『イーリアス』1巻。
- ^ ヒュギーヌス、128話。
- ^ アポロドーロス、2巻58。
参考図書