ケーシー・デラクア(Casey Dellacqua, 1985年2月11日 - )は、オーストラリア・パース出身の女子プロテニス選手。2011年の全仏オープン混合ダブルスで、スコット・リプスキーとペアを組んで優勝した。4大大会女子ダブルスの準優勝も7回ある。身長165cm、体重66kgの小柄な体格で、左利きの選手。WTAツアーでダブルス7勝を挙げた。自己最高ランキングはシングルス26位、ダブルス3位。
来歴
デラクアは7歳からテニスを始め、2003年全豪オープンジュニア女子ダブルスで優勝した。2003年から2007年までは、全豪オープンで地元選手としての主催者推薦を受けながらも1回戦敗退が続き、2006年の全豪1回戦で第1シードのリンゼイ・ダベンポートに当たったこともある。2007年全仏オープンで、彼女は初めて全豪以外の4大大会に初出場し、同年の全米オープンで1回戦を突破した。この大会では2回戦で第2シードのマリア・シャラポワに敗退している。この後ジャパン・オープンにも出場し、サニア・ミルザとの2回戦まで進んだ。
デラクアは2008年、シングルス・ダブルスともに目覚ましい躍進を遂げた。全豪オープンでは、2回戦で第15シードのパティ・シュナイダー、3回戦で第18シードのアメリ・モレスモに勝ち、2人のシード選手を連破して初の4回戦進出を果たした。4回戦では第3シードのエレナ・ヤンコビッチに 6-7, 1-6 で敗退する。全仏オープンでもシングルス3回戦に進み、女子ダブルスでフランチェスカ・スキアボーネと組んで決勝に勝ち進む。デラクアとスキアボーネは、3回戦で第3シードのレネ・スタブス&クベタ・ペシュケ組、準々決勝で第6シードのビクトリア・アザレンカ&シャハー・ピアー組、準決勝で全豪女子ダブルス優勝者のアリョーナ・ボンダレンコ&カテリナ・ボンダレンコ組を連破した。デラクアは女子ツアーで初の決勝進出を、グランドスラム大会の女子ダブルスで決めたのである。決勝戦ではスペインペアのビルヒニア・ルアノ・パスクアル&アナベル・メディナ・ガリゲス組に 6-2, 5-7, 4-6 の逆転で敗れ、デラクアとスキアボーネは4大大会優勝のチャンスを逃した。
全仏オープン終了後、デラクアはナタリー・ドシーとペアを組み、ウィンブルドンでも女子ダブルス準決勝に進出した。ウィンブルドンでは、デラクアとドシーはビーナスとセリーナのウィリアムズ姉妹組に 3-6, 3-6 のストレートで完敗した。同大会のシングルスでもニコル・バイディソバとの3回戦まで進出する。この後北京五輪のオーストラリア代表選手に選ばれ、オリンピックにも初出場を果たす。オリンピックでは、シングルスは2回戦でベラルーシ代表のビクトリア・アザレンカに敗れ、アリシア・モリクと組んだダブルスでは1回戦でイタリア代表のスキアボーネ&フラビア・ペンネッタ組に当たってしまった。五輪後の全米オープンでは振るわず、シングルス・ダブルスとも1回戦敗退に終わる。それから東レ パン・パシフィック・オープン・テニストーナメントで2年連続の来日をし、全仏オープン以来となったスキアボーネとのダブルスでは準決勝まで進んだが、シングルスの予選2回戦で、当年度から12年ぶりに現役復帰したクルム伊達公子に 6-3, 3-6, 3-6 で敗れてしまう。シーズン後半は両肩の故障に悩み、東レを最後に彼女の当年度のツアー出場が終わった。
2009年1月、メディバンク国際の女子ダブルスでドシーと組んで準優勝。全豪オープンの女子ダブルスではスキアボーネとペアを組み、この準決勝でもウィリアムズ姉妹組に 0-6, 2-6 で完敗した。
2011年全仏オープン混合ダブルスでは、スコット・リプスキーと組んでノーシードから決勝に進出。第1シードで前年優勝のネナド・ジモニッチ&カタリナ・スレボトニク組に 7–6(6), 4–6, [10–7] で勝利して初優勝を果たした。
2012年7月のロンドン五輪で2度目のオリンピックに出場した。サマンサ・ストーサーと組んだダブルスに出場したが1回戦でスペインのヌリア・リャゴステラ・ビベス&マリア・ホセ・マルティネス・サンチェス組に 1-6, 1-6 で敗れた。
2013年全豪オープンではアシュリー・バーティと組み主催者推薦での出場から決勝に進出。決勝では第1シードのサラ・エラニ&ロベルタ・ビンチ組に 2-6, 6-3, 2-6 で敗れ準優勝となった。2月のPTTパタヤ・オープンではクルム伊達公子と組み決勝に進出し、アクグル・アマンムラドワ&アレクサンドラ・パノワ組を 6–3, 6–2 で破りツアー初優勝を果たした。ウィンブルドンと全米オープンでも決勝で敗れ4大大会4度目の準優勝となった。全米オープン後のインタビューで、自身が同性愛者であることと、8月にはパートナーとの間に男の子が誕生したことを公表した[1]。
2014年全豪オープンでは、1回戦でベラ・ズボナレワ、2回戦で第18シードのキルステン・フリプケンス、3回戦で鄭潔を破り6年ぶりの4回戦進出を果たした。4回戦では第30シードのウージニー・ブシャールに 7-6(5), 2-6, 0-6 で敗退した。全米オープンでも4回戦に進出した。2014年9月29日付のランキングで自己最高の29位となりトップ30入りを果たしている。
シングルスの出場は2016年3月が最後になり、ダブルスに絞って出場した。2017年全仏オープンでアシュリー・バーティと組んで決勝に進出した。決勝ではベサニー・マテック=サンズ&ルーシー・サファロバ組に 2–6, 1–6 で敗れ4大大会7度目の準優勝となった。
デラクアは2018年に現役を引退した[2]。
WTAツアー決勝進出結果
ダブルス: 20回 (7勝13敗)
結果
|
No.
|
決勝日
|
大会
|
サーフェス
|
パートナー
|
対戦相手
|
スコア
|
準優勝
|
1.
|
2008年6月7日
|
全仏オープン
|
クレー
|
フランチェスカ・スキアボーネ
|
アナベル・メディナ・ガリゲス
ビルヒニア・ルアノ・パスクアル
|
6-2, 5-7, 4-6
|
準優勝
|
2.
|
2009年1月16日
|
シドニー
|
ハード
|
ナタリー・ドシー
|
謝淑薇
彭帥
|
0-6, 1-6
|
準優勝
|
3.
|
2013年1月25日
|
全豪オープン
|
ハード
|
アシュリー・バーティ
|
サラ・エラニ
ロベルタ・ビンチ
|
2-6, 6-3, 2-6
|
優勝
|
1.
|
2013年2月3日
|
パタヤ
|
ハード
|
クルム伊達公子
|
アクグル・アマンムラドワ アレクサンドラ・パノワ
|
6–3, 6–2
|
優勝
|
2.
|
2013年6月16日
|
バーミンガム
|
芝
|
アシュリー・バーティ
|
カーラ・ブラック マリーナ・エラコビッチ
|
7–5, 6–4
|
準優勝
|
4.
|
2013年7月6日
|
ウィンブルドン
|
芝
|
アシュリー・バーティ
|
謝淑薇
彭帥
|
6–7(1), 1–6
|
準優勝
|
5.
|
2013年9月9日
|
全米オープン
|
芝
|
アシュリー・バーティ
|
アンドレア・フラバーチコバ
ルーシー・ハラデツカ
|
7–6(4), 1–6, 4–6
|
優勝
|
3.
|
2014年5月24日
|
ストラスブール
|
クレー
|
アシュリー・バーティ
|
タチアナ・ブア ダニエラ・セグエル
|
4–6, 7–5, [10–4]
|
準優勝
|
6.
|
2014年6月15日
|
バーミンガム
|
芝
|
アシュリー・バーティ
|
ラケル・コップス=ジョーンズ アビゲイル・スピアーズ
|
6–7(1), 1–6
|
準優勝
|
7.
|
2015年4月12日
|
チャールストン
|
クレー
|
ダリア・ユラク
|
マルチナ・ヒンギス サニア・ミルザ
|
0–6, 4–6
|
優勝
|
4.
|
2015年5月9日
|
マドリード
|
クレー
|
ヤロスラワ・シュウェドワ
|
ガルビネ・ムグルサ カルラ・スアレス・ナバロ
|
6–3, 6–7(4), [10–5]
|
準優勝
|
8.
|
2015年6月7日
|
全仏オープン
|
クレー
|
ヤロスラワ・シュウェドワ
|
ベサニー・マテック=サンズ ルーシー・サファロバ
|
6–3, 4–6, 2–6
|
準優勝
|
9.
|
2015年8月23日
|
シンシナティ
|
ハード
|
ヤロスラワ・シュウェドワ
|
詹皓晴 詹詠然
|
4–6, 5–7
|
準優勝
|
10.
|
2015年9月13日
|
全米オープン
|
ハード
|
ヤロスラワ・シュウェドワ
|
マルチナ・ヒンギス サニア・ミルザ
|
3–6, 3–6
|
優勝
|
5.
|
2017年3月5日
|
クアラルンプール
|
ハード
|
アシュリー・バーティ
|
ニコール・メリヒャル 二宮真琴
|
7–6(5), 6–3
|
優勝
|
6.
|
2017年5月27日
|
ストラスブール
|
クレー
|
アシュリー・バーティ
|
詹皓晴 詹詠然
|
6–4, 6–2
|
準優勝
|
11.
|
2017年6月11日
|
全仏オープン
|
クレー
|
アシュリー・バーティ
|
ベサニー・マテック=サンズ ルーシー・サファロバ
|
2–6, 1–6
|
優勝
|
7.
|
2017年6月25日
|
バーミンガム
|
芝
|
アシュリー・バーティ
|
詹皓晴 張帥
|
6-1, 2–6, [10–8]
|
準優勝
|
12.
|
2017年7月1日
|
イーストボーン
|
芝
|
アシュリー・バーティ
|
詹詠然 マルチナ・ヒンギス
|
3–6, 5–7
|
準優勝
|
13.
|
2017年8月26日
|
ニューヘイブン
|
ハード
|
アシュリー・バーティ
|
ガブリエラ・ダブロウスキー 徐一幡
|
6–3, 3–6, [8–10]
|
4大大会シングルス成績
- 略語の説明
W
|
F
|
SF
|
QF
|
#R
|
RR
|
Q#
|
LQ
|
A
|
Z#
|
PO
|
G
|
S
|
B
|
NMS
|
P
|
NH
|
W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.
脚注
外部リンク