ジョーダン・198 (Jordan 198) は、ジョーダン・グランプリが1998年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カー。設計者はゲイリー・アンダーソン。
概要
プジョーがオールフレンチを標榜するプロスト・グランプリへエンジン供給を切替えたため、新たに日本の無限ホンダと契約した。結果的に、この2チーム間でエンジンが入れ替わることとなった。
フロントノーズは前年の197よりも細く、高く持ち上げられた。サイドポンツーンは前後に長く、スクエアな形状に変更された。序盤戦はティレルが発明したX-ウィングをコピーして、サイドポンツーン上に立てていた(第5戦より使用禁止)。
197で好評だったノーズアートは、絵柄が蛇からスズメバチ(イエロー・ホーネット)に変更され、サイドポンツーンやエンジンカウルにも黄色と黒の縞模様がペイントされた。たばこ広告が禁止されているグランプリでは、メインスポンサーのロゴが"BENSON&HEDGES"から"BUZZIN HORNETS"に変更された。
1998年シーズン
ドライバーはチーム2年目のラルフ・シューマッハに加え、アロウズからデイモン・ヒルを獲得した。チャンピオン経験者の在籍はチーム初となる。
レギュレーション変更で導入されたグルーブドタイヤやナローボディ化などへの対応に失敗し、シーズン前半は無得点というスランプに陥り、デザイナーのアンダーソンはシーズン途中に離脱した。しかし、シーズン途中にチームに加入したマイク・ガスコインが尽力し、多くの改良によって状況は改善され、後半戦はコンスタントにポイントを積み重ねた。ガスコインによれば「(自分の加入時点で)198はフロントウィングが全く機能していなかった」ものの、それ以外の部分は水準以上の出来にあったため、フロントウィングを改善するだけでマシンのパフォーマンスが大きく向上したのだという[1]。
第13戦ベルギーGPは大混乱の展開の中でヒルが優勝し、シューマッハも2位となり、F1参戦8年目にしてチームの初勝利をワンツーフィニッシュで達成した。最終戦の日本GPではヒルが最終ラップにウィリアムズのハインツ=ハラルド・フレンツェンをパスして4位に入り、チームはベネトンを抜いてコンストラクターズランキング4位でシーズンを終えた。
F1における全成績
(key) (太字はポールポジション)
- ブラジルGPのヒルはレース後の再車検で最低重量違反となり失格。
参照
脚注
- ^ 『GP Car Story Vol.31 Jordan 199』(三栄、2020年4月)pp.19 - 20