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光と闇の分離
『創世記』(、ヘブライ語:בראשית、ギリシア語:Γένεσις、英語: genesis)は、古代ヘブライ語によって記された、ユダヤ教、キリスト教の聖典とされ、キリスト教の啓典である聖書(旧約聖書)の最初の書かつ、正典の一つとして扱われている。写本が現存しており、モーセが著述したとされている。いわゆるモーセ五書は、ユダヤ教においてはトーラーと呼ばれている[1]。
『創世記』はヘブライ語では冒頭の言葉を取ってבראשית(ベレシート、bereshit)と呼ばれており、これは「はじめに」を意味する。また、ギリシア語の七十人訳では、2章4節[注 1]からとって「γένεσις(ゲネシス)」と呼ばれており。「起源、誕生、創生、原因、開始、始まり、根源」の意である[5]。
主な内容
内容は、「天地創造と原初の人類」、「イスラエルの太祖たち」、「ヨセフ物語」の大きく3つに分けることができる。
- 天地創造と原初の人類
- 太祖たちの物語
- アブラハムの生涯 12章 - 25章
- イサクの生涯 26章 - 27章
- イスラエルと呼ばれたヤコブの生涯 27章 - 36章
- ヨセフの物語
- 夢見るヨセフ 37章 - 38章
- エジプトでのヨセフ 38章 - 41章
- ヨセフと兄弟たち 42章 - 45章
- その後のヨセフ 46章 - 50章
ユダヤ人の歴史の物語は、聖書で『創世記』の次に置かれている『出エジプト記』へ続いていく。
ヘブライ語聖書における創世記の成立・編集について
神話風の原初史、父祖の物語、ヨセフ物語の三つの部分から成るが、これらはもともとは別の物語であり、成立過程の異なった物語を、連続する物語としても読めるように編集したものである[6]。創世記を含むモーセ五書が現在の形に編集された時期は、紀元前550年前後のバビロニア捕囚期とされる[7]。
原初史に見られる大きな特徴としては、叙述の重複として、同じことについて2度、それも違ったことが語られている箇所が多くみられることである。このことに言及した解説では、その例として、ノアの箱舟に乗り込む命令が2回なされるところ[8]では、動物の数を種類ごとに分けて入れよという命令と、種類の区別なく入れよという命令が2回なされていることがあげられている[9][10][11]。これは、現在の形に編集するときに、内容の似た別個の二つの話があり、それらを組み合わせてひとつの話に編集したためであるとされている[9]。また、神の呼称にもヤハウェとエロヒム(神)の二つがあり、それらが理由もなく交替して現れてくることも、内容の似た別個の二つの話を組み合わせてひとつの話に編集したためであるとされている[12]。ヤハウェの呼称を用いる文書については、古いものでは前10世紀に成立したと考えられている[13][注 2]が、異論もある(詳しくは文書仮説を参照)。
脚注
注釈
- ^ 「これが天地創造の由来である。」[2]
原文:“Αὕτη ἡ βίβλος γενέσεως οὐρανοῦ καὶ γῆς, ὅτε ἐγένετο”[3]
- ^ モーセの十戒に見られる、他の神々と共存した観点を持つ拝一神教は古いものとされ、創世記の原初史に記されている唯一絶対神信仰は、紀元前550年前後のバビロニア捕囚期の時代のものと考えられている。(岩波キリスト教辞典2002年P869、「拝一神教」の項目、山我哲雄)
出典
参考文献
関連項目
外部リンク