『春に散る』(はるにちる)は、沢木耕太郎による日本の小説。2015年4月1日から2016年8月31日まで、朝日新聞紙上にて連載された[1][2]。連載および単行本のイラストは中田春彌が手掛けている[1][3]。
その後、2016年12月31日に朝日新聞出版より単行本が上・下巻で同時刊行され、2020年2月7日には朝日文庫にて文庫化された。
あらすじ
広岡仁一は40年ぶりに日本の地に降り立つ。彼はアメリカに渡った元ボクサーであり、引退後はホテル経営を行い、成功を収めていた。しかし心臓に持病を抱えてしまう。日本に戻ってきた彼が最初に行ったことは後楽園ホールでボクシングの試合を見ることだった。会場でかつて所属していたボクシングジム「真田拳闘倶楽部(真拳ジム)」の会長の娘で現会長である真田令子に偶然会い、後日真拳ジムを訪ねる。そこでかつての同期である仲間の近況を聞き、唯一所在の分かる藤原から尋ねることにした。
進藤不動産の土井佳菜子の協力で良い部屋を借り、藤原を始めとした同期を順々に尋ねる。皆、人生が上手く行かず、傷心しきっていた。そんな同期達に昔の仲間で共同生活を提案すると、やがて一人、また一人と集まってくる。
そして、佳菜子も参加した新生活を祝う飲み会後に、チンピラたちに絡まれるが難なく撃退する。その中にはある理由から引退を考えていたボクサー黒木翔吾がいた。
登場人物
- 広岡仁一
- ボクシングジム「真田拳闘倶楽部(真拳ジム)」に所属していた元プロボクサー。後にアメリカに渡り、ホテル経営で財を成すが、心臓に持病を抱える。そして思うところがあり、40年振りに日本の地を踏む。
- 黒木翔吾
- 連勝しているが、ある判定勝ちから戦意を消失しており、引退を考えている若手ボクサー。
- 藤原次郎
- 「真田拳闘倶楽部」に所属していた元プロボクサー。現役時代はインサイド・アッパーを得意としていた。結婚したが、妻子とは別れている。冒頭の時点では、傷害事件で服役中。
- 佐瀬健三
- 「真田拳闘倶楽部」に所属していた元プロボクサー。現役時代はジャブの3段打ちを得意としていた。引退後にジムを開いたが事業に失敗。冒頭の時点では一人で暮らしている。
- 星弘
- 「真田拳闘倶楽部」に所属していた元プロボクサー。現役時代はボディー・フックを得意としていた。飲み屋のママと一緒になっていたらしいが、相手の女性は亡くなっている。
- 土井佳菜子
- 進藤不動産の事務員。不思議な力を持つ。
- 真田令子
- 広岡がかつて所属していたジムの会長の娘。現在は彼女が会長を務めている。
- 大塚俊
- 真拳ジムで世界挑戦が近いジム期待の星。
書誌情報
ラジオドラマ
2021年3月20日と27日にNHK-FMの「FMシアター」枠で前・後編形式で放送された[8]。
キャスト(ラジオドラマ)
スタッフ(ラジオドラマ)
映画
2023年8月25日に公開された日本映画。監督は瀬々敬久、主演は佐藤浩市と横浜流星[9]。
主演の横浜は2022年4月に本作の役作りのためボクシングを始め、2023年6月12日、プロテスト(日本ボクシングコミッション(JBC)のC級(4回戦))に合格した[10]。
2023年12月20日、動画配信サービス「Lemino」での独占配信が開始された。
あらすじ(映画)
キャスト(映画)
主要人物
- 広岡仁一
- 演 - 佐藤浩市
- 黒木翔吾
- 演 - 横浜流星
周辺人物
- 広岡佳菜子
- 演 - 橋本環奈[11]
- 大塚俊
- 演 - 坂東龍汰[11]
- 佐瀬健三
- 演 - 片岡鶴太郎[11]
- 藤原次郎
- 演 - 哀川翔[11]
- 中西利男
- 演 - 窪田正孝[12]
- 真田令子
- 演 - 山口智子[11]
- 山下裕二
- 演 - 松浦慎一郎
- 郡司
- 演 - 尚玄
- 原田
- 演 - 奥野瑛太
- 黒木和美
- 演 - 坂井真紀
- ラウンドガール
- 演 - 清瀬汐希[13]
- 巽会長
- 小澤征悦[14]
スタッフ(映画)
脚注
出典
外部リンク