鈴木 晶(すずき しょう、男性、1952年8月2日 - )は、日本の舞踊評論家、舞踊史家、翻訳家。法政大学名誉教授。
文学批評、精神分析、その思想史を専門とし、エーリヒ・フロム著『愛するということ』やエリザベス・キューブラー=ロス著『死ぬ瞬間』の翻訳者として知られる。ロマンティック・バレエ、バレエ・リュスをはじめとした、19世紀から20世紀にかけての西洋バレエ史の研究者でもある。
人物
東京都生まれ。東京教育大学附属駒場高等学校の同学年に四方田犬彦[1]や金子勝がいた。1977年に東京大学文学部露文科を卒業し、東京大学大学院人文科学研究科博士課程露語露文学専攻を単位取得満期退学した。駿河台大学専任講師、法政大学第一教養部教授を経て、2017年まで法政大学国際文化学部教授。2022年度まで早稲田大学大学院文学研究科客員教授。2023年『ニジンスキー』で読売文学賞受賞。
学生時代に小説を書いて高橋たか子に見せに行ったが、小説になっていないとして翻訳を勧められ、高橋と共訳をしたりするうちに秘書的存在になり、高橋和巳・高橋たか子の著作権を管理(著作権所有者は日本近代文学館)。
鎌倉市在住。
親族
前妻(死別)は翻訳家・絵本研究者の灰島かり。娘は作家の鈴木涼美である。
著書
- 『グリム童話~メルヘンの深層』講談社現代新書 1991
- 『フロイト以後』講談社現代新書 1992
- 『踊る世紀』新書館 1994
- 『翻訳はたのしい』東京書籍 1996
- 『図説フロイト 精神の考古学者』河出書房新社 1998
- 『ニジンスキー 神の道化』新書館 1998
- 『フロイトからユングへ 無意識の世界』日本放送出版協会、NHKライブラリー 1999
- 『バレエの魔力』(講談社現代新書) 2000
- 『「精神分析入門」を読む』日本放送出版協会(NHKライブラリー)2000
- 『世界一わかりやすいフロイト教授の精神分析の本』三笠書房 2002、のち改題『世界一おもしろい精神分析の本』(知的生きかた文庫)2005
- 『バレエへの招待』筑摩書房(ちくまプリマーブックス)2002
- 『バレエ誕生』新書館 2002
- 『図解雑学 フロイトの精神分析』ナツメ社 2004
- 『バレリーナの肖像』新書館 2008
- 『オペラ座の迷宮 パリ・オペラ座バレエの350年』新書館 2013
- 『フロム 100の言葉』宝島社 2016
- 『フロムに学ぶ「愛する」ための心理学』NHK出版新書 2019.1
- 『ニジンスキー 踊る神と呼ばれた男』みすず書房 2023.7
共編著
- 『大人は愉しい メル友おじさん交換日記』内田樹共著、冬弓舎 2002、ちくま文庫 2007
- 『バレエとダンスの歴史 欧米劇場舞踊史』編著、平凡社 2012
雑誌寄稿
- 特集:反ユートピア 「『われら』を十倍楽しく読む方法 ザミャーチン・神話・エントロピー」
翻訳
- マドレーヌ・シャプサル他『嫉妬』サンリオ 1978、のちサンリオ文庫 1984
- リチャード・カウパー『クローン』サンリオSF文庫 1979
- ミシェル・ジュリ『不安定な時間』サンリオSF文庫 1980
- ラシルド『ヴィーナス氏』高橋たか子共訳、人文書院 1980
- シオドア・スタージョン『コスミック・レイプ』サンリオSF文庫 1980
- ロベール・アリエル『フロイド 精神分析の冒険』岸田秀共訳、リブロポート 1981
- エリザベート・バダンテール『プラス・ラブ 母性本能という神話の終焉』サンリオ 1981、のち改題『母性という神話』筑摩叢書 1991、のちちくま学芸文庫 1998
- ジョン・T・ホワイト『カントリー・ヘッジ』サンリオ 1981
- マリー・エンジェル『田園の花たち』中野春夫共訳、サンリオ 1983
- ルネ・ジラール『ドストエフスキー 二重性から単一性へ』法政大学出版局 1983
- リチャード・バックル『ディアギレフ ロシア・バレエ団とその時代』上・下、リブロポート 1983 - 1984
- ガレス・B・マシューズ『子どもは小さな哲学者』思索社 1983
- E・A・ベネット『ユングが本当に言ったこと』入江良平共訳、思索社 1985
- ガレス・B・マシューズ『続・子どもは小さな哲学者』思索社 1987
- C・W・ニコル『小さな反逆者』福音館書店 1985、のち講談社文庫 1996、のち福音館文庫 2002
- コリン・ウィルソン『性と文化の革命家 ライヒの悲劇』筑摩書房 1986
- H・キュング『フロイトと神』教文館 1987
- ジョナサン・コット『子どもの本の8人 夜明けの笛吹きたち』晶文社 1988
- ジャン・ガッテニョ『ルイス・キャロル AliceからZenonまで』法政大学出版局 1988
- R・ハマーシュタイン他『天の音楽・地の音楽』共訳、平凡社(叢書ヒストリー・オヴ・アイディアズ)1988
- ティモシー・ベイネケ『レイプ・男からの発言』幾島幸子共訳、筑摩書房 1988、のちちくま文庫 1993
- コリン・ウィルソン『性のアウトサイダー』青土社 1989、のち中公文庫 2008
- ポール・クレシュ『アメリカン・ラプソディ ガーシュインの生涯』晶文社 1989
- ジャン=フランソワ・ルヴェル『美食の文化史 ヨーロッパにおける味覚の変遷』福永淑子共訳、筑摩書房 1989
- カテリーナ・クラーク、マイケル・ホルクイスト『ミハイール・バフチーンの世界』川端香男里共訳、せりか書房 1990
- マリア・タタール『グリム童話 その隠されたメッセージ』山根玲子・高野真知子共訳、新曜社 1990
- ルース・ボティックハイマー『グリム童話の悪い少女と勇敢な少年』広川郁子・田中京子共訳、紀伊国屋書店 1990
- ジャック・ザイプス『グリム兄弟 魔法の森から現代の世界へ』筑摩書房 1991
- ジョーン・スミス『男はみんな女が嫌い』筑摩書房 1991
- ジョゼフ・キャンベル『宇宙意識 神話的アプローチ』入江良平共訳、人文書院 1991
- エーリヒ・フロム『愛するということ』紀伊国屋書店 1991、のち改訳版 2020
- ジョン・シェリー絵『12の月たち』ミキハウス(ミキハウスの絵本)1991
- ウィルソン・ブライアン・キイ『メディア・レイプ』入江良平共訳、リブロポート 1991
- ハロルド・シェクター『体内の蛇 フォークロアと大衆芸術』吉岡千恵子共訳、リブロポート 1992
- 『ニュー・ゴシック ポーの末裔たち』森田義信共編訳、新潮社 1992
- トミー・デ・パオラ『ボンジュール、サティおじさん』ほるぷ出版 1992
- C・W・ニコル『陸軍少佐夫人』集英社 1993
- アキム・ヴォルィンスキー『歓喜の書』赤尾雄人共訳、新書館 1993
- ロロ・メイ『自分さがしの神話』読売新聞社 1994
- マリア・M・タタール『魔の眼に魅されて メスメリズムと文学の研究』国書刊行会 1994
- アンソニー・ストー『フロイト』講談社選書メチエ 1994
- アンソニー・スティーヴンズ『ユング』講談社選書メチエ 1995
- ジョージ・ジョンソン『記憶のメカニズム ニューロン・AI・哲学』河出書房新社 1995
- バーバラ・クーニー『しらゆきべにばら グリム童話』ほるぷ出版 1995
- アヤーラ・パインズ『ロマンチック・ジェラシー 嫉妬について私たちの知らないこと』川勝彰子共訳、筑摩書房 1995
- コリン・ウィルソン『「死体の庭」あるいは「恐怖の館」殺人事件』ぶんか社 1997
- ピーター・ゲイ『フロイト』1 - 2 みすず書房 1997 - 2004
- ジェイムズ・マグラザリー『愛と性のメルヒェン グリム・バジーレ・ペローの物語集にみる』佐藤知津子共訳、新曜社 1998
- ヴァーツラフ・ニジンスキー『ニジンスキーの手記』新書館 1998
- カミール・パーリア『性のペルソナ 古代エジプトから19世紀末までの芸術とデカダンス』浜名恵美・栂正行共訳、河出書房新社)1998
- ジョン・ロス、バーバラ・マッキニー『なぜうちの犬は、トイレの水を飲むのでしょうか?』メディアファクトリー 1999
- サラ・コフマン『女の謎 フロイトの女性論』せりか書房 2000
- スティーヴン・ロジャー・フィッシャー『ことばの歴史 アリのことばからインターネットのことばまで』研究社 2001
- ジャック・ザイプス『おとぎ話の社会史 文明化の芸術から転覆の芸術へ』木村慧子共訳、新曜社 2001
- ディック・パウンテン、デイヴィット・ロビンズ『クール・ルールズ クールの文化誌』研究社 2003
- ゲザ・ローハイム、アラン・ダンデス編『龍の中の燃える火 フォークロア・メルヒェン・精神分析』佐藤知津子共訳、新曜社 2005
- フィッシャー『文字の歴史 ヒエログリフから未来の「世界文字」まで』研究社 2005
- ジョナサン・コット『奪われた記憶 記憶と忘却への旅』求龍堂 2007
- ダウエ・ドラーイスマ『なぜ年をとると時間の経つのが速くなるのか 記憶と時間の心理学』講談社 2009
- ジャクリーン・ローズ『ピーター・パンの場合 児童文学などありえない?』新曜社(メルヒェン叢書)2009
- デブラ・クレイン、ジュディス・マックレル『オックスフォード バレエダンス事典』赤尾雄人・海野敏・長野由紀共訳、平凡社 2010
- ジョナ・レーラー『プルーストの記憶、セザンヌの眼 脳科学を先取りした芸術家たち』白揚社 2010
- シェング・スヘイエン『ディアギレフ 芸術に捧げた生涯』みすず書房 2012
- ロバート・ロウランド・スミス『ソクラテスと朝食を 日常生活を哲学する』講談社 2012
- ダウエ・ドラーイスマ『アルツハイマーはなぜアルツハイマーになったのか 病名になった人々の物語』講談社 2014
- チャールズ・デュヒッグ『あなたの生産性を上げる8つのアイディア』講談社 2017
- レオ・ボルマンス編『世界の学者が語る 愛』西村書店 2017
- キャレブ・ワイルド『ある葬儀屋の告白』飛鳥新社 2018
- アンドルー・ジョージ写真・文『「その日」の前に』中央経済グループパブリッシング (ONDORI-BOOKS) 2020
- ジョン・グレイ『猫に学ぶ いかに良く生きるか』みすず書房 2021
エリザベス・キューブラー=ロス
- エリザベス・キューブラー=ロス『「死ぬ瞬間」と臨死体験』読売新聞社 1997、のち改題『「死ぬ瞬間」と死後の生』中公文庫 2001、のち改版 2020
- エリザベス・キューブラー=ロス『死ぬ瞬間 死とその過程について』読売新聞社 1998、のち中公文庫 2001、のち改版 2020
- エリザベス・キューブラー=ロス『続・死ぬ瞬間 - 死、それは成長の最終段階』読売新聞社 1999、のち改題 『死、それは成長の最終段階』中公文庫 2001、のち改版 2020
- エリザベス・キューブラー=ロス『「死ぬ瞬間」をめぐる質疑応答』中公文庫 2005
- エリザベス・キューブラー・ロス『子どもと死について』中公文庫 2007
スラヴォイ・ジジェク
- スラヴォイ・ジジェク『斜めから見る 大衆文化を通してラカン理論へ』青土社 1995
- スラヴォイ・ジジェク『イデオロギーの崇高な対象』河出書房新社 2000、のち文庫
- スラヴォイ・ジジェク『汝の症候を楽しめ ハリウッドvsラカン』筑摩書房 2001
- ジジェク編『ヒッチコック×ジジェク』内田樹共訳、河出書房新社 2005
- ジジェク『ラカンはこう読め!』紀伊國屋書店 2008
- スラヴォイ・ジジェク『事件! 哲学とは何か』河出書房新社(河出ブックス)2015
脚注
- ^ ただし同期として、四方田の著作に批判のコメントを述べることもある。
外部リンク