『8番出口』(はちばんでぐち、英題:The Exit 8)は、2023年11月29日にSteamにて配信が開始された、個人開発のウォーキングシミュレーター(英語版)[1][3][4]。2024年4月17日にはNintendo Switch版の配信が開始された[5]。
遊び方
プレイヤーは、駅の構内を模した無限に続く地下通路に閉じ込められた状況の中、0番をスタート地点として「8番出口」を目指して進んでいく。
地下通路は出口を案内する番号付きの壁掛け看板のある通路、ポスターやドアなどが並べられた長い通路、それらを結ぶ直角に曲がる通路、とL字状につながっている。長い通路の反対方向からは、中年男性がどこからともなく歩いてくる。
進む地下通路の中で怪奇現象(異変)が起きることがあり、異変を発見した場合は引き返して逆方向に進む、何も起きない場合は引き返さずにそのまま進む必要がある。正しく進めた場合は出口案内看板の番号が加算され、一つでも間違えると0番に戻る。8番になった後に異変の無い通路を引き当て、正しく進むことで出口の階段が出現する[注釈 1]。無事に出口階段を進んだ後には、未遭遇の異変の数(異変に気づいて引き返すことで遭遇と判定)を示す張り紙が掲示される2周目が開始される。
開発
開発者のKOTAKE CREATE(以下:コタケクリエイト)は、数年前から別作品の開発を進めていたものの、公開したことは一度もなかったため、まずは簡単な作品を先に出そうと考え、数か月でできるゲームを考えたことが本作の開発のきっかけになったとGame*Sparkとのインタビューの中で振り返っている。コタケクリエイトはこれ以外のきっかけとして、地下通路の不気味さに魅了されたことと、ループもののゲームを作りたいと思ったこと、そして監視カメラで異常を見つける『I’m on Observation Duty』をプレイした際に間違い探しとホラーの相性の良さに気づいたことを挙げている。また、『I’m on Observation Duty』以外に影響を受けた作品として、コタケクリエイトは『P.T.』や『Twelve Minutes(英語版)』などのループ物や、『The Backrooms』『リミナルスペース』などを挙げている[6]。
ただし、コタケクリエイトは『I’m on Observation Duty』と同じシステムにするのは避けたいという考えゆえに、ゲームシステムを思いつくのに苦労したとも話しており、ループする場所でも異常を探すことができそうだと気づいたことで現在の形となり、作業コストが減ったという利点もあったという。
モデルとなった駅について、コタケクリエイトは詳細な回答を控えているが、照明の配置がバラバラになる異変は東京都江東区の清澄白河駅を参考にしたという[7]。
2024年4月17日、Nintendo Switch版をリリースした[5]。Nintendo Switch版では発生する怪奇現象に異なる点が存在する。また、Steam版で既に対応している日本語や英語に加えて、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、韓国語、ポルトガル語、中国語[注釈 2]にも対応した[8]。
2024年7月12日、VR(Meta Quest)版をリリースすることを同年6月6日にMyDearestが発表した。Meta Quest 2とMeta Quest 3、Meta Quest Proの3モデルに対応予定としている[9]。
反響
本作はSteamでの発売から1日で3万本超を売り上げ、インディーゲームとしては大きな反響を呼んだ[10]。中にはRTAにいそしむものも出てきた[11]。日本国外においても本作のプレイ動画を投稿する者も相次いだ[12]。
また、プレイヤーキャラクターのファンアートが投稿されたほか、他作品[注釈 3]のキャラクターカスタマイズ機能による再現もあった[13]。一方で、供給対象外であるApp Storeに偽物が出てくる事態も起きた[14]。また、歩いて電車の異常がないかを確かめる『Station 5』など、本作の形式を模倣したタイトルも登場している[15][16]。
2024年4月12日、アース製薬は『8番出口』をパロディ[注釈 4]したモンダミンのWeb CMを制作した[19][20][21]。
2024年4月、PC版の売り上げが50万本を超えたことをコタケクリエイトが明らかにした[5][8]。
2024年4月19日、8番出口の公式グッズが発表され、ゲームセンターの景品になっている[22]。
続編
『8番のりば』(はちばんのりば)は、インディーゲームクリエイターKOTAKE CREATE(コタケクリエイト)により開発されSteamプラットフォームにて2024年5月31日に配信が開始されたゲームソフト。今作の続編となる[23]。本作ではデザインツール『イラストAC』の素材を利用した架空の広告が貼られていたが[24]、続編製作に伴い法人・個人を対象に広告を募った[25][26]。
脚注
注釈
- ^ 異変のある通路を引き当てて引き返した場合、8番の状態のままやり直しとなる。
- ^ 簡体字と繁体字。
- ^ 例:『ソウルキャリバーVI』
- ^ 当初、アース製薬は「コラボした新WebCM」と表現し、各メディアもコラボCMと報じていたが[17]、KOTAKE CREATEのコタケクリエイトが「正しくはパロディCMで、コラボした覚えは一切はありません」と声明を出し[18]、のちに表現が修正された。
出典
外部リンク