CM-32 雲豹 は、台湾 (中華民国 )が自国軍隊 のために設計した8輪式の多目的装甲車 (装輪装甲車 )であり、歩兵戦闘車 型には台湾歩兵戦闘車(TIFV :T aiwan I nfantry F ighting V ehicle)[ 注 1] の名称が付けられている。
概要
CM-21A1装甲兵員輸送車。M113を基に設計した台湾初の国産装甲兵員輸送車だったが、NBC防護装置を搭載していないなどの技術上の問題があり、登場してすぐに旧式化してしまった。
2001年 、中華民国国軍 はアメリカ合衆国 から導入したM113装甲兵員輸送車 やV-150装甲車 、M113を基にAIFV の設計を取り入れた独自派生型であるCM-21 の後継となるCM-31 (中国語版 ) の開発を開始した。しかしこの車両は失敗作であり軍への採用は見送られた。これら旧式化した装備を代替するために、2001年 にCM-31の車体をテストベッドとした8×8駆動の装甲兵員輸送車を独自に開発することを決定した。
2002年 、試作車両P0が完成した。続いて2003年 にP1、2004年 にP2、2005年 の始め頃にP3と計4両の試作車両が完成した。
2005年1月11日南投 の陸軍兵整センターで報道陣に公開され[要出典 ] 、陳水扁 総統 (当時)によりCM-32雲豹 の正式名称が付けられた。
2007年 に量産車の製造が開始され、2019年 までに配備を完了する予定である。
武装
乗員は、操縦士 が車体前部左側に座り、リモコン式銃塔左側に車長、右側に銃手が座る。兵員は車体後部の兵員室に6名分のシートがあり、固有乗員と下車戦闘兵員の合計一個機械化歩兵 分隊 9名を搭載できる輸送能力と共に91式40mmグレネードマシンガン(336発)と同軸で74V1式 7.62mm機関銃(2,800発)を搭載している。
国軍 の調達予定数は40ミリてき弾銃型704両と30ミリ機関砲型305両と装輪戦車型282両。2018年までに704両が引き渡され、2023年までに合計1009両生産する予定。
96式リモコン銃塔
96式リモコン銃塔
96式リモコン銃塔 の性能諸元
重量
1,200kg
操作員
射手もしくは車長
兵 装
武器
弾薬
発射速度
有効射程
91式40mmグレネードマシンガン
1箱48発入
300発/分
1,500m
74V1式7.62mm同軸 機関銃
1箱400発入
400発/分
1,100m
T85 66mm発煙弾発射機 4x4(16発)
駆 動 性 能
旋回範囲
360度
仰角範囲
-5度~+60度
最大旋回速度
30度/秒以上
最大仰角速度
30度/秒以上
行進間射撃
可能
観 測 シス テム
8倍以上光学CCDカメラ
赤外線熱画像照準具
レーザーレンジファインダー
比較
性能類似車両との比較
96式
M1126
CM-32
ZBL-08
ボクサー
AMV
ブーメランク
エイタン
画像
全長
6.84 m
6.95 m
7.0 m
8.0 m
7.88 m
7.70 m
8.0 m
不明
全幅
2.48 m
2.72 m
2.70 m
2.1 m
2.99 m
2.80 m
3.30 m
2.80 - 3.0 m
全高
1.85 m
2.64 m
2.30 m
3.00 m
2.37 m
2.30 m
3.00 m
2.5 - 3.00 m
重量
約 14.5 t
約 16.47 t
約 22.0 t
約 21.0 t
約 25.2 t
16 - 26 t
約 25 t
30 - 35 t
最大出力
360 hp
350 hp
450 hp
440 hp
805 hp
480-600 hp
750 hp
最高速度
100 km/h
105 km/h
105 km/h
103 km/h
100 km/h
90 km/h
乗員数
2名+戦闘員8名
2名+兵員9名
3名+兵員7名
3名+兵員7名
3名+兵員8名
3名+兵員12名
3名+兵員7~9名
3名+兵員9名
バリエーション
雲豹は近年開発された8輪式多目的装甲車の例にもれずモジュラー構造を採用しており、車体後部区画のモジュールを変更することで装甲兵員輸送車 や歩兵戦闘車 、戦場救急車、指揮通信車、自走 迫撃砲 、戦車駆逐車 、機動砲車両 などさまざまな派生型を製造することが可能である。特に105mm砲を搭載した機動砲車両は、M41軽戦車 の後継となることも予定されている。
試作車
第1世代
2004年、中華民国陸軍の陸軍兵工装備開発センターは、P0、P1、P2、P3の4つの試作車両を製造した。P0は概念実証用の試作車両で、P1は開発試験評価(Development Test and Evaluation,DT&E)用の兵器システムと車体の開発を担当し、装輪戦車型の105ミリ砲塔とNBC防護装置の試験に使用され[ 1] ;、P2は初期運用テストと評価(Initial Operational Test & Evaluation , IOT&E)に使用された。
[ 2]
P0試作車
105ミリ砲塔搭載のP1試作車
M242機関砲砲塔搭載のP2試作車
96式リモコン銃塔搭載のP3試作車
第2世代
第1世代の雲豹装甲車の開発を終えた後、軍備局202工場、209工場、401工場は工業技術研究院(ITRI) と共同で第2世代の雲豹装甲車を研究開発し、2017年の台北航空宇宙博覧会でM1と番号付けされた試作車両が初めて展示された。
しかし、M1試作車にはまだ未熟な設計が多かったため、軍備局はM1試作車で実証されたさまざまな技術を駆使してM2試作車を再開発した。このバージョンは、現役の第一世代の雲豹装甲車とスペアパーツの70%を共有できるため、第二世代の雲豹装甲車が就航した後の整備体制への影響を軽減できる。
CM-32 戦闘車型
CM-33装甲戦闘車は雲豹多目的装甲車の基本型。主要武器としてTS-96リモコン銃塔を装備している。
CM-32とCM-33は2006年に 「迅馳計画」の名のもとに368台が量産され、そのすべてがそれぞれの部隊に引き渡された[ 3] 。
CM-32の左側面
CM-32の右側面
CM-32の後部
CM-32の後部乗員室
CM-32のエンジン
CM-32の車長席
M577戦闘指揮車 とCM-26戦闘指揮車 の後継となる。CM-33 指揮車型とCM-32戦闘車型の唯一の違いは通信器材、指揮任務のために通信機能を強化したものである。
CM-32にはCS/VRC-193C車両用二型無線機が装備されており、CM-33はCS/VRC-191C車両用一型無線機です。
CM-34 装輪戦闘車型
試作車はM2ブラッドレー やLAV-25 に装備されているデルゴ社製の二人乗り砲塔を搭載していたが、最終的にNCSIST が開発した砲塔が採用された。搭載火器のMk 44 30mm機関砲 が台湾の装備体系にない新装備であったため、アメリカから購入した。
中華民国国防部が2019年に発表した情報によると、CM-34 30mm装輪戦闘車型の価格は1台13,816,000元[ 4] で、総生産台数は305台である[ 5] 。
CM-34の砲塔上部(下)
第586旅団の2両のCM-34。
第333旅団の3両のCM-34。
105mm装輪戦車は、獵豹計画と呼ばれるプロジェクトで、第2世代の雲豹装甲車の車体を採用し、105mm T112砲、7.62mm T74V同軸機関銃、12.7mmM2重機関銃を搭載したリモコン銃塔を装備すると予想されている。量産型はエンジンの強化や車体重心の低下、砲塔の再設計が施され試作車とは違う設計に変更される。
105mm装輪戦車D2試作車
走行するD2試作車
D2試作車の砲塔
自走迫撃砲型
81mm/120mm迫撃砲を搭載した型。ノーナ-SVK に似た方式の旋回砲塔搭載案と従来の西側の自走迫撃砲と同じ車体搭載案がある。CM-22/CM-22A1/CM-23自走迫撃砲 の後継となる。購入予定250両。
81mm迫撃砲システム搭載のCM-32
自走迫撃砲型とドローンシステム
雲豹IIの車体を持つ自走迫撃砲型
雲豹IIの後部乗員室
配備部隊
CM-32/33ウンピョウ装輪装甲車の配備単位
部隊単位
従属大隊
中隊 数
定数
ランヤン指揮部
第1大隊
3個
41両
第2大隊
3個
41両
グワンドゥー指揮部
第1大隊
3個
41両
第2大隊
3個
41両
第1大隊
2個
28両
第2大隊
2個
28両
第269旅団
第1大隊
2個
28両
第2大隊
2個
28両
第3大隊
2個
28両
第584旅団
第1大隊
1個
13両
第2大隊
1個
13両
第3大隊
1個
13両
第542旅団
第1大隊
1個
13両
第2大隊
1個
13両
第3大隊
1個
13両
第234旅団
第1大隊
2個
28両
第2大隊
2個
28両
第3大隊
2個
28両
第586旅団
第1大隊
1個
13両
第2大隊
1個
13両
第3大隊
1個
13両
第333旅団
第1大隊
2個
28両
第2大隊
2個
28両
第3大隊
2個
28両
第564旅団
第1大隊
1個
13両
第2大隊
1個
13両
第3大隊
1個
13両
憲兵 202指揮部
第239大隊
3個
45両[ 注 2]
歩兵学校教導勤務大隊 - 第1中隊(教育訓練用)
1個
8両
装甲兵学校教導勤務大隊
2両
後勤学校(整備教育用)
4両
合計
707両
脚注
注釈
^ トルコ にも同じ名称の歩兵戦闘車があるが、こちらはAIFV のトルコ仕様の非公式の略称である。
^ CM-32指揮車 18両(萬鈞 1両、大隊本部 2両、中隊本部 6両、小隊本部 9両)、CM-34装輪戦闘車 27両(9コ小隊 各3両が配備されている)
出典
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
CM-32 に関連するカテゴリがあります。