SRI農法 (エスアールアイのうほう)とは、イネ が成長するのに最善な環境(テロワール )を可能な限り与えた有機農業 技術で農家負担の少ない低投入型(種子 ・肥料 ・農薬 ・水 )の幼苗一本植え高収量稲作 農法である。名称は「System of Rice Intensification(インテンシフィケーション)」(イネ強化法・イネ強化システム)の略称。
概要
SRIは乳苗・疎植と間断灌漑 による土壌 水分の制御が基本であるが、国と地域の気候 風土 によって独自の改良・普及された農法になっている。主な共通点は下記になる。
歴史
1961年 、マダガスカル にイエズス会 の神父 アンリ・デ・ロラニエ(Henri de Laulanie)が赴任[ 16] [ 17] 。1981年 、農村の若者向けの教育機関としてアンツィラベ に農学校を設立。1983年 、アンリ・デ・ロラニエ(Henri de Laulanie)氏がSRI農法を提案。1990年 、NGO 「Tefy Saina」を設立。1993年 、コーネル大学 の国際食料農業開発研究所長のノーマン・アポフ(Norman Uphoff)教授がマダガスカルで、焼畑農業 に代わる食料生産手段を見出す。1994年 、マダガスカルのラノマファナで導入。1995年 、アンリ・デ・ロラニエ氏が死去。1997年 、アジア で普及(南京農業大学 ・インドネシア 農業研究開発庁・インド タミル・ナードゥ州 )フィリピン からペルー まで二十ヶ国で導入。2001年 、ラオス で開始[ 18] 。2007年 4月1日 、J-SRI 研究会発足(東京大学 大学院 農学生命科学研究科 農学国際専攻国際情報農学研究室内)(会長 山路永司 )[ 19] 。2015年 、ベトナム クアンナム省 で導入[ 20] [ 21] 。
書籍
参考文献
溝口勝「SRIの決め手は間断灌漑-土壌水分の制御-にあり 」『熱帯農業研究』第5巻第2号、日本熱帯農業学会、2012年、175-178頁、doi :10.11248/nettai.5.175 、2020年7月2日 閲覧 。
鳥山和伸「SRI農法の持つ多収可能性とその科学的評価の試み 」『熱帯農業研究』第5巻第2号、日本熱帯農業学会、2012年、170-174頁、doi :10.11248/nettai.5.170 、2020年7月2日 閲覧 。
溝口勝 ほか、「低投入持続的稲作技術SRIの信憑性を確認するための土壌物理学的実証研究 」KAKENHI-PROJECT-19658087
『ポスト緑の革命 期のインドネシア ・ジャワ における低投入農法の普及過程―有機 SRI(System of Rice Intensification)の普及事例の社会ネットワーク分析―』[ 23] 。
『東南アジアにおける農業土木学的視点からのSRI栽培技術の比較と標準化手法の開発』[ 24] 。
『栃木県農家水田において乳苗移植栽培した水稲の根系調査事例 -ファイトマー に基づく形態解析と出液速度による機能評価一』[ 25] 。
山本由徳, 池尻明彦, 新田洋司「水稲乳苗の苗素質と活着, 初期生育に及ぼす育苗期間の光条件の影響 」『日本作物學會紀事』第65巻第3号、日本作物学会、1996年、495-501頁、doi :10.1626/jcs.65.495 、2020年7月2日 閲覧 。
星川清親, 佐々木良治, 長谷部幹「育苗条件を異にした水稲乳苗の生育と活着について 」『日本作物學會紀事』第64巻第2号、日本作物学会、1995年、328-332頁、doi :10.1626/jcs.64.328 、2020年7月2日 閲覧 。 。
宮城県古川農業試験場 栽培部作物科,環境科, 宮城県農業センター 農産部 高生産水田科,稲作科「育苗用シートを利用した床土による乳苗育苗 」『東北農業試験研究』、農研機構、1994年、2020年7月2日 閲覧 。
白土宏之, 北川寿, 小倉昭男, 中西一泰, 鈴木光則「種子付きマットを用いた水稲「箱なし苗」の作業性 」『農作業研究』第44巻第1号、日本農作業学会、2009年3月、21-28頁、doi :10.4035/jsfwr.44.21 、ISSN 0389-1763 、NAID 130004519366 、2020年4月10日 閲覧 。 。
『現代の農業指導者-1-片倉権次郎論--「相対的なものの見方」で稲作増収技術を確立 』[ 26] 。
脚注
関連項目
外部リンク