『はちどり』(原題:벌새、英題:House of Hummingbird)は、2018年に公開された韓国のドラマ映画。キム・ボラの長編映画監督デビュー作[1]。主演はパク・ジフ。第69回ベルリン国際映画祭ジェネレーション14プラス部門インターナショナル審査員賞グランプリ受賞作[2]。日本では2020年6月20日に公開された[3]。
ストーリー
1994年、韓国・ソウル。14歳のウニ(パク・ジフ)は、両親、姉、兄と集合団地に暮らす中学生。学校に馴染めず、別の学校に通う唯一の友達で親友のジスクと遊んだり、男子学生のジワンや後輩女子でウニに想いを寄せるユリとデートをしたりして日々を過ごしている。小さな餅屋を切り盛りしている両親は、子どもたちの心の動きに向き合う余裕がない。父は長男である兄のデフンを名門のソウル大学に入学させたい一心で期待を寄せるが、デフンは勉強のストレスやプレッシャーをウニへの暴力で発散している。姉のスヒは自己評価の低さから逃げるように恋人と遊び惚けており、その尻拭いはいつもウニがしている。ウニはジスクに家庭内の事を相談しても「私の家もそうだよ」と取り合ってもらえない。自分に無関心な大人やままならない交友関係に、孤独な思いを募らせるウニ。
ある日、ウニが通う漢文塾に女性教師のヨンジ(キム・セビョク)がやってくる。飄々として落ち着いているが自分の話に耳を傾けてくれる大人のヨンジに、ウニは憧れ、心を開いていく。ヨンジは、ストレスから出来た耳裏のしこりの手術で入院中のウニの見舞いに訪れ、日常的に兄に殴られている事を告白したウニに「誰かに殴られたら黙っていてはダメ」と静かだが力強く励ます。
ある朝、聖水大橋崩落の知らせが入る。それは、いつもウニの姉が乗るバスが橋を通過する時間帯だった。ほどなくして、ウニのもとにヨンジから一通の手紙と小包が届く。
キャスト
- パク・ジフ:キム・ウニ
- キム・セビョク(朝鮮語版):キム・ヨンジ
- チョン・インギ(朝鮮語版):ウニの父親
- イ・スンヨン(朝鮮語版):ウニの母親
- パク・スヨン:キム・スヒ(ウニの姉)
- ソン・サンヨン:キム・デフン(ウニの兄)
- パク・ソユン:チョン・ジスク(ウニの親友)
- チョン・ユンソ:キム・ジワン(ウニのボーイフレンド)
- ソル・ヘイン:ペ・ユリ(ウニの後輩)
- ヒョン・ヨンソン:ウニの叔父
- キル・ヘヨン(朝鮮語版):ヨンジの母親
- パク・ユニ:担任の教師
- ソン・ヨンボム:ジュンテ
- アン・ジンヒョン:ミンジ
- キム・ジョング(朝鮮語版):セソウル医院の医師
- キム・ミヒャン:漢文塾の塾長
- イ・ジョンユン(朝鮮語版):文房具店の店主
- イ・ソンジュ:ジワンの母親
- チョン・ギョンソプ:サムソン医療院の医師
- パク・チャンヨ:コ・ドゥリ
スタッフ
- 監督・脚本:キム・ボラ
- 制作:キム・ボラ、チョ・スア
- 撮影:カン・グクヒョン
- 音楽:マティア・スタニーシャ
- サウンドデザイン:ハン・ミョンファン
- 美術:キム・グナ
- 編集:チョ・スア
- 製作会社:エピファニーフィルム、メスオーナメント
- 配給(韓国):アット9フィルム(朝鮮語版)
製作・公開
脚本は2013年に執筆が始まり、監督のキム・ボラが、ニューヨークで映画を学んでいる最中にもう一度中学時代をやり直すという悪夢を見たことが元になっている[4]。
撮影は2017年9月11日から同年10月22日までの42日間、計32回行われた[5]。主人公のウニが住んでいる家は、ソウル特別市の大峙洞にあるアパートを1か月かけて1994年当時の世相に合うように再構築したセットである[6]。
2018年10月6日に第23回釜山国際映画祭にて初公開された。翌2019年8月29日、映画製作・配給会社アット9フィルム(朝鮮語版)を通じて大韓民国の145か所のスクリーンで封切り[7]。2019年9月14日には、シンガポールのインディペンデント映画配給会社アンティシペイトピクチャーズを通じて制限的上映形態で封切りした[8]。
日本では2020年3月15日に第15回大阪アジアン映画祭にて初公開され[9]、同年4月25日に劇場公開[1]。
受賞・ノミネート
脚注
外部リンク