『戦争と平和』(せんそうとへいわ、War and Peace)は、1956年のイタリア・アメリカ合衆国の戦争映画。監督はキング・ヴィダー、出演はオードリー・ヘプバーン 、ヘンリー・フォンダ 、メル・ファーラーなど。原作はレフ・トルストイの小説『戦争と平和』。
製作は当時イタリアの二大プロデューサーと言われたカルロ・ポンティとディノ・デ・ラウレンティスでパラマウントが配給。音楽はイタリアのニーノ・ロータが担当した。
撮影はテクニカラー、ビスタビジョンで撮影され、オードリー・ヘプバーンにとっては初のカラー映画、ワイドスクリーン作品への出演になった。
日本での劇場初公開は1956年12月22日[3][4]で、その後1964年、1973年、1987年、1989年にも大々的にリバイバルされている。また、1970年1月3・4日にNHKが前後編に分けてテレビ初放映し、その後も何度かテレビ放送されている。
ストーリー
ナターシャとピエールとアンドレイの3人の物語として原作を大幅にダイジェストにして脚本化されており、ナポレオンが退却した後に荒廃したロストフ邸でナターシャとピエールが再会するところがラストシーン[注 1]で、最後はトルストイの言葉「人生を愛すことは神を愛すことである」で終わっている。
キャスト
- NHK版:初回放送1970年1月3日・4日『劇映画』※前後編に分けて放送[5][6]
- フジテレビ版:初回放送1972年5月19日・26日『ゴールデン洋画劇場』※前後編に分けて放送
- テレビ朝日版:初回放送1980年12月14日・21日『日曜洋画劇場』※前後編に分けて放送
- ソフト版:2003年12月17日発売のDVDに初収録・ビデオ・オン・デマンドにも使用。
スタッフ
日本語版
受賞・ノミネート
- 受賞
- ゴールデングローブ賞外国映画賞
- ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 外国映画賞
- 英国撮影監督協会賞 最優秀撮影賞 ジャック・カーディフ
- Italian National Syndicate of Film Journalists 最優秀音楽賞 ニーノ・ロータ
- Italian National Syndicate of Film Journalists 最優秀美術賞 マリオ・キアーリ
- ノミネーション
エピソード
- 屋内場面はポンティ=ロレンティス撮影所の4つのステージ、チネチッタ撮影所で3つのステージ、セントロ・スペリメンターレ撮影所に3つのステージを使って撮影された[8][9][注 5]。1812年のモスクワの市街地は、テヴェレ川の岸沿いに組まれ本物かと見紛うほどであった[10][11][12]。この市街地はナポレオンのモスクワ入城の際に焼き払われた[8][9]。
- 製作のディノ・デ・ラウレンティスは、合戦シーンに1万8000人のイタリア軍の兵士を使い、忠実に再現したナポレオン時代のロシア兵やフランス兵の軍服を着せた。この軍服のボタンに10万個以上を使い、約7000着の衣装、約4500丁の銃、200門の大砲が作られた[8][9][注 6]。雪あらしのシーンではコーンフレークの人工雪を大量に使った[10][11]。
- キング・ヴィダー監督は、1972年に著した『映画製作について』という本でオードリー・ヘプバーンに関し、「あの映画を作って以来---それに先立つ数年間も含め---あんなに見事にあの役に適応できる女性はいまだに考えられない。彼女はその仕草とテンポについて監督を喜ばす直観的な頭の良さを持って動いていた。」と述べている[12][13]。そしてヘプバーンについて「今まで監督をしてきた女優の中で、誰が一番好きですか?』−と訊かれるとき、いつもすぐに一人、心に浮かぶ」と述べている[12][14]。
脚注
注釈
- ^ モスクワ攻防戦が終わった後に、ピエールがモスクワに戻ってナターシャと再会するところがラストであることは、10年後のソ連製作のセルゲイ・ポンダルチェク監督作品でも同じである。原作はその後の二人も描いている。
- ^ ソ連版でも同役を演じている。
- ^ 1956年の日本初公開から1989年リバイバル時までの公式プレスシートおよびパンフレットは「アナトール」表記。現在のDVD及びブルーレイの字幕とソフト版吹き替えでは「アナトーリ」表記。
- ^ 復刻部分[7]
- ^ 後年のバリー・パリスの伝記p248ではチネチッタ撮影所の9つのステージ全てを必要とした、と書かれている。
- ^ 後年に書かれた海外のオードリーの伝記(チャールズ・ハイアムp126、バリー・パリスp247)では1万5千人となっているが、ここでは製作当時のパラマウントの発表を採用。
出典
- ^ “War and Peace” (英語). The Numbers. 2022年2月20日閲覧。
- ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』キネマ旬報社、2012年、129頁。
- ^ 『シネアルバム5「オードリー・ヘプバーン きらめく真珠のように 夢みる白鳥のように」』芳賀書店、1971年12月20日初版発行、109頁。
- ^ 『「戦争と平和」松竹セントラル劇場初版冊子型チラシ』松竹、1956年。
- ^ “劇映画「戦争と平和」(前編)”. NHKクロニクル. 2022年2月5日閲覧。
- ^ “劇映画「戦争と平和」(後編)”. NHKクロニクル. 2022年2月5日閲覧。
- ^ “戦争と平和”. パラマウント・ピクチャーズ. 2020年7月19日閲覧。
- ^ a b c 『松竹セントラル劇場映画パンフレット』松竹、1956年12月。
- ^ a b c 『「戦争と平和」プレスシート』パラマウント日本支社、1956年。
- ^ a b チャールズ・ハイアム『オードリー・ヘプバーン 映画に燃えた華麗な人生』近代映画社、1986年3月15日、126頁。
- ^ a b バリー・パリス『オードリー・ヘプバーン 上巻』集英社、1998年5月4日、247頁。
- ^ a b c ロビン・カーニー『ライフ・オブ・オードリー・ヘップバーン』キネマ旬報社、1994年1月20日、69-73頁。
- ^ イアン・ウッドワード『オードリーの愛と真実』日本文芸社、1993年12月25日、193-194頁。
- ^ アレグザンダー・ウォーカー『オードリー リアル・ストーリー』アルファベータ、2003年1月20日、174-175頁。
関連項目
外部リンク