この記事は検証可能 な参考文献や出典 が全く示されていないか、不十分です。 出典を追加 して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方 ) 出典検索? : "扁形動物" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL (2021年3月 )
扁形動物 (へんけいどうぶつ)とは、扁形動物門 Platyhelminthes に属する動物 の総称。プラナリア 、ヒラムシ 、コウガイビル 、サナダムシ などが扁形動物門に属する。
「扁形 」と呼ばれるようにこの門の動物は平らな形をしている。循環器官や特別な呼吸器官を持ってはいない。血管 やえら がなく、体に栄養や酸素を運ぶには拡散 に頼っている。種類によっては細長くなったりする。太くなったり、丸くなったりすることは構造上ほとんど不可能である。また、肛門がない。
左右相称の体を持つ動物 (ビラテリア)の中では、非常に原始的な特徴を持っている。渦虫綱 のものはほとんどが自由生活であり、大部分が水中生活をするが、それ以外の綱に属するものはすべてが寄生生活であり、体の構造の単純化が著しい。
特徴
左右相称で、前後と腹背の区別がある。自由生活のものでは、眼点 や平衡胞 、触覚器などを備えた頭部 があり、内部には神経の集まった脳が形成される。寄生生活のものではそれらはほとんど退化し、その代わりに吸盤など体を固定するための器官が発達している。
内部は三胚葉性であるが、それ以外の三胚葉性動物とは異なり、その中胚葉は筋細胞と間充織が表皮と腸管の間を埋める状態にある。体腔がないので無体腔動物 と呼ばれる。腸管は袋状で、出入口が一緒になっているため口と肛門が同じである。消化管は分枝して体内に広がり、各部で消化吸収が行われる。ただし、無腸類では消化管は腔所として存在しない。口の内側は多核で細胞の区別がない合胞体 になっている体内につながり、ここに食物を取り込み、細胞内消化する。なお、吸虫では消化管は残っているが、条虫では完全に退化している。
神経系は中枢神経と末梢神経が区別でき、また頭部には脳が形成される。そこから後方へ左右一本の側神経が後方へ伸び、ほぼはしご形神経系 に近いが、体節的構造がはっきりしないためかご形神経系 と呼ばれる。
大部分では体内受精 が行われ、交尾器が発達しているものが多い。生殖は分裂 などの無性生殖 (無性子)と卵などを産む有性生殖 (有性子)の二種類がある。卵は5-8匹孵り1つの卵の中に卵細胞がいくつか入っているものもある。また、寄生性のサナダムシ類や吸虫類には、幼生が多胚形成 などによって無性的に増殖するものがある。渦虫綱のものにも分裂で増殖する種が多く、それらでは再生能力も高い。
発生
螺旋卵割。渦虫綱のものでは、多岐腸類に簡単な幼生を生じるものがあり、それらはミュラー幼生やゲッテ幼生と呼ばれる。繊毛帯を持ち、肛門がない点を除けばややトロコフォア 幼生に似る。しかし多くのものでは直接発生が行われる。吸虫や条虫など寄生性のものでは、それぞれにかなり特殊化した幼生が見られる。
系統
扁形動物は腹毛動物 とともに吸啜動物を構成する。伝統的な渦虫綱は多系統群 であり、渦虫綱に含める説もあった顎口動物 や無腸動物 は扁形動物とは別系統に属する。扁形動物の中では小鎖状類が初期に分岐し、これら以外の渦虫類や新皮類(吸虫類・条虫類・単生類)を含む系統が有棒状体類としてまとめられる。
有棒状体類では多食形類が初期に分岐した系統とされ、続いて多岐腸類・原有吻頭からなる分岐群 および錐咽頭類が有棒状体類からそれぞれ分かれた。この系統関係に従うと、原有吻頭・錐咽頭類からなる卵黄皮類は多系統群ということになる。残る系統については不確実であるものの、三岐腸類・フェカンピア類・原卵黄類からなる分岐群が不透明類Adiaphanidaとしてまとめられ、その姉妹群としてヒメヒラウズムシと新皮類からなる分岐群が位置付けられる。
分類
World Register of Marine Speciesの分類
World Register of Marine Species (WoRMS, 2022) では以下のように分類されている[1] 。
Subphylum Catenulida[4] (小鎖状類)
(綱・目なし)
Family Catenulidae(イトヒメウズムシ科) - イトヒメウズムシ など
Family Chordariidae
Family Retronectidae
Family Stenostomidae(クサリヒメウズムシ科) - コガタクサリヒメウズムシ など
Family Tyrrheniellidae
Subphylum Rhabditophora[5] (有棒状体類)
(上綱所属不明)
Order Bothrioplanida - ヒメヒラウズムシ Bothrioplana semperi など
Order Fecampiida(フェカンピア類)
Order Gnosonesimida(錐咽頭類)
Order Mariplanellida
Order Polycladida(多岐腸類)
Order Prolecithophora(原卵黄類)
Order Prorhynchida(原有吻頭)
Order Proseriata(原順列類)
Order Rhabdocoela(棒腸類)
Order Tricladida(三岐腸類)
Superorder Macrostomorpha[6] (多食形類) - 伝統的に多食目Macrostomidaや単咽頭目Haplopharingidaとされた分類群を含む
Superclass Neodermata[7] (新皮類)
Class Cestoda(条虫類)
Class Monogenea(単生類)
Class Trematoda(吸虫類)
伝統的分類
伝統的に以下のように分ける。しかし、分子系統の方からは渦虫綱が単系統ではないとの指摘がある。
条虫綱・単生綱・吸虫綱を新皮亜門Neodermataとしてまとめることもある[8] 。
条虫綱 Cestoda
サナダムシ の仲間。
単生綱 Monogenea
魚介類の寄生虫。以下の目を亜綱とする分類や、3つ目の亜綱Polystomatoineaを認める説もある[8] 。単生類の単系統性については議論がある。古典的には単生類を条虫類の姉妹群とする説もあったが、分子系統解析による研究では認められていない[8] 。
吸虫綱 Trematoda
古典的には単生類を含めていたが、独立した綱として扱われるようになった[8] 。
渦虫綱 Turbellaria
プラナリア 、ヒラムシ 、コウガイビル など、自由生活の動物。
出典
^ a b WoRMS (2022). Platyhelminthes. Accessed at: https://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=793 on 2022-12-02.
^ Tyler, S., Artois, T.; Schilling, S.; Hooge, M.; Bush, L.F. (eds) (2006-2022). World List of turbellarian worms: Acoelomorpha, Catenulida, Rhabditophora. Catenulida. Accessed through: World Register of Marine Species at: https://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=2849 on 2022-12-02.
^ WoRMS (2022). Rhabditophora. Accessed at: https://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=479175 on 2022-12-02.
^ Tyler, S., Artois, T.; Schilling, S.; Hooge, M.; Bush, L.F. (eds) (2006-2022). World List of turbellarian worms: Acoelomorpha, Catenulida, Rhabditophora. Macrostomorpha. Accessed through: World Register of Marine Species at: https://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=479177 on 2022-12-02.
^ Norenburg, J.; Gibson, R.; Herrera Bachiller, A.; Strand, M. (2022). World Nemertea Database. Neodermata. Accessed through: World Register of Marine Species at: https://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=853123 on 2022-12-02.
^ a b c d 新田理人「日本産魚類に寄生する単後吸盤亜綱(単生綱:扁形動物門)の多様性 」『タクサ:日本動物分類学会誌』第43巻(号)、日本動物分類学会、2017年、11-29頁。
参考文献
外部リンク
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