この項目では、アメリカ州の先住民について説明しています。アメリカ合衆国の先住民については「ネイティブ・アメリカン 」をご覧ください。
アメリカ先住民 、アメリカインディアン 、インディアン 、インディオ
アメリカ州の先住民族 :アメリカ州の先住民族全般(エスキモー・アレウトを含む)→本記事 で扱う。
インディアン :アメリカ州の先住民族のうち、エスキモー・アレウトを除く諸民族の総称。狭義には北米の先住民。→#インディアン
インディオ :中南米の先住民の総称。→#インディオ
アメリカ大陸の先住民 アメリカ大陸における先住民の分布図
総人口 およそ7,000万人 居住地域 メキシコ 25.7 million[ 1] ペルー 13 million グァテマラ 7.8 million ボリビア 6 million アメリカ合衆国 5.2 million エクアドル 4.5 million カナダ 2.13 million チリ 2.1 million コロンビア 1.9 million アルゼンチン 1.2 million ブラジル 997,000 ベネズエラ 524,000 ホンデュラス 520,000 パナマ 460,000 ニカラグア 444,000 ウルグアイ 160,000 コスタリカ 118,000 パラグアイ 116,000 エルサルバドル 70,000 ガイアナ 80,000 グリーンランド 51,000 ベリーズ 40,000 (Maya) スリナム 20,300 フランス (フランス領ギアナ )19,000 キューバ 4,000 ドミニカ共和国 2,000 セントビンセント・グレナディーン 2,000 トリニダード・トバゴ 1,500
アメリカ先住民 [ 2] (アメリカせんじゅうみん、Indigenous peoples of the Americas)は、ヴァイキング やクリストファー・コロンブス によるアメリカ本土への到達以前からアメリカ州 (南北アメリカ大陸 とその周辺)に住んでいる先住民族 の総称。エスキモー・アレウト人を除き、インディアン 、アメリカインディアン 、インディオ などとも呼ばれてきた。
概要
「アメリカ先住民」には、「インディアン とインディオ 」と「エスキモー・アレウト人 (エスキモー とアレウト )」がいる。
アメリカ合衆国 やチリ が領有する、アメリカ州に属さない太平洋の島々 には「アウストロネシア人 (ポリネシア人 ・チャモロ人 ・トンガ人 ・ミクロネシア人 など)」がいる[ 3] が、少なくともアメリカ合衆国国勢調査 では、彼らはアメリカ先住民(Native Americans)に含まれない。ハワイ先住民 はかなりの人口がアメリカ合衆国本土に居住するが、彼らも同様である。
なかでもエスキモーやアレウト族、太平洋諸島民を除くアメリカ州本土の民族を、インディアン またはインディオ と呼ぶ。日本語 では、「インディアン」は北米 本土の先住民、「インディオ」は中南米 の先住民をさすことが多い。
ただし、現在では、「インディアン」、「インディオ」という呼称は用いられなくなってきており、特に前者は差別用語と一般に認識されている[要出典 ] 。そのため、アメリカ合衆国 では「ネイティブ・アメリカン 」[ 4] 、カナダ では「ファーストネーション 」、中南米 では「インディヘナ 」[ 5] などの呼称が一般的である。また、エスキモーも、近年はカナダで「イヌイット 」、グリーンランド で「カラーリット 」と呼ばれている。(後述)
現代では白人種や黒人種、アジア人種等との混血が進んでいる。
インディアンやエスキモー、アレウトの場合、アメリカ連邦政府が「インディアン部族」、「エスキモー部族」、「アレウト」として認める部族のみが、アメリカ内務省の指定保留(reserve)した保留地 (Reservation)を領有している。内務省が条約関係を打ち切り「絶滅部族」として認定しない部族は、保留地を持てず、各州に散って暮らしている。カナダ連邦におけるインディアン、イヌイットも同様である。
分類
エスキモー、アレウト
エスキモー・アレウト語族 を話す諸民族。インディアン とは起源(アメリカへの移住時期)が異なると考えられる。新モンゴロイド に属す。
インディアン、インディオ
インディアン (英 : Indian )は、アメリカ先住民 のうち、エスキモー・アレウト人を除く諸民族の総称。スペイン語 ・ポルトガル語 ではインディオ (西 : indio )。日本語 では、メキシコ 以北の諸民族をインディアン、ラテンアメリカ の諸民族をインディオと呼び分けることが多い。
「インディアン」(英語)と「インディオ」(スペイン語・ポルトガル語)ともに、本来はインド人 を指す言葉である。「インディアン」、「インディオ」がこのように二義的な意味を持つのは、クリストファー・コロンブス がアメリカ大陸 に到着したときに、その地をインド (当時は東アジア 全体を指した)と誤解したことに由来する。スペイン人が先住民をインディオス(インド人の意)と呼んだことから、そのまま英語のインディアンに引継がれ、以降アメリカ先住民(の大半)をインディアンと呼ぶようになった。
インディアン(北米)
英語 のインディアンは直訳するとインド人 の意味であり、歴史的な文脈や広義では、旧イギリス領インド 全域や東南アジア の住民を含むこともあることから、本来のインド人をイースト・インディアン [ 原 1] 、アメリカ先住民をアメリカン・インディアン [ 原 2] と区分して呼称する場合がある。
おもに平原部族が正装の際に顔や上半身を赤く塗装したことから、また、赤褐色の肌色を持つことからレッド・マン [ 原 3] という呼称もあり、彼ら自身も使用しているが、コロンブスがタイノ族 を同じ理由でこう呼んだことによる。公民権運動 やブラック・パワー運動 の影響でインディアン達もレッド・パワー運動 を展開した1960年代以降、侮蔑的な呼称として問題化されることがあり[ 注 1] 、イギリスでもレッド・インディアン [ 原 4] と呼ぶことがあるが、この語は差別的とみなされることが多い[ 6] 。
また「インジャン 」という呼び方[ 注 2] は現代アメリカにおいては「ニガー 」などと同様の差別的な蔑称であり、ほか、「アンクル・トマホーク [ 原 5] [ 注 3] 」、「トント (英語版 ) [ 注 4] 」などは、現在では同じく「白人におもねるインディアン」の代名詞となっている。
イギリス の作家アガサ・クリスティ による小説「Ten Little Niggers 」はイギリス国内ではこのまま出版されたが、アメリカ版ではNiggerが不適切として「And Then There Were None」に修正され、作中に登場するNigger IslandもIndian Islandに変えられたが、こちらも差別的として変更された。
人類学 ・言語学 では、アメリンド [ 原 6] と呼ぶこともある。ただしこの語は厳密には、アメリカ先住民のうち、起源が異なるという説があるナ・デネ (ナヴァホ など)やイヌイット を除いたグループに対する呼称である。
他に以下の呼称があるが、これらの中には定義が不明確なものも多い。
なお、アメリカ合衆国のインディアンについてはネイティブ・アメリカン の記事に詳しく、またカナダのインディアンについてはファースト・ネーション の記事に詳しい。
インディオ(中南米)
笛を吹くインディオ系民族の男性
スペイン語 indio ・ポルトガル語 índio (ブラジル ではインジオ、あるいはインヂオと発音する)は、アメリカ州の先住民族 のうちエスキモー やアレウト族 などを除いた民族を総称する(英語のインディアン と同義である)ことが多いが、日本語では北米 と中南米 の先住民族を区別して後者のみをインディオと呼ぶことが多い。
インド人と区別するためにスペイン語ではアメリンディオ (amerindio )と呼ぶこともあるが、逆にインド人をインドゥ (hindú )と呼ぶことで区別することが多い。
先住民と白人 との混血をメスティーソ (mestizo )、ラディーノ(ladino)などという。ボリビア 、ペルー などでは、先住民として位置づけられる者を含めてチョロ とも呼ばれる。先住民(インディオ)と黒人 との混血をサンボ と呼ぶ。なお、サンボという呼称と差別についての話題がちびくろサンボ にあるので、そちらも参照されたい。
インディオ 出身のメキシコ大統領ベニート・フアレス
人種的に純粋なインディオであっても、都市部の住民を中心にインディオ的な文化を喪失し、白人やメスティーソに文化的に同化した人はインディオと呼べないのではないかという議論がある。そのような人はインディオと称されることを忌避し、メスティーソ などと自己規定することが多い。しかし日常会話では、厳密にはメスティーソであるがインディオの人種的特徴を強く持つ人もまとめてインディオと呼ばれるのが一般的である。一方で、逆に人種的には混血であっても、先住民としてのアイデンティティを持ち、農村部を中心に先住民系の言語を日常的に用い、伝統的な文化を守る人々も決して少なくない(チョロ 又はチョリータ を参照)。
近年の呼称
イヌイット、カラーリット
「エスキモー 」という言葉は、アラスカエスキモーと居住域が隣接していた亜極北のアルゴンキン系インディアン の言葉で「かんじき の網を編む」という意味である。これが、東カナダに住むクリー族の言葉 で「生肉を食べる者」を意味する語と誤って解釈されたことから、「エスキモー」という呼称はある時期においてしばしば侮蔑的に使用された。これには、生肉を食べる行為[ 注 5] を野蛮であるとみなす人々の偏見が背景にある。
カナダでは1970年代 ごろから「エスキモー」を差別用語と位置付け[ 注 6] 、彼ら自身の言葉で「人々」を意味する「イヌイット 」[ 注 7] が代わりに使用されている。現在では「イヌイット」という呼称は、本来「人々」を意味する言葉ではなかったとされている。先住民運動の高まりの中で、これまで他者から「エスキモー」と呼ばれてきた集団が自らを指す呼称が必要となり、「イヌイット」という言葉を採用したためである[ 7] 。
なお、グリーンランド では「カラーリット 」と呼ばれる。
ファーストネーション
カナダ では、イヌイット とメティ (先住民とヨーロッパ人 両方の血を引く人々とその子孫)を除く先住民の総称としてファースト・ネーションズ という呼称が一般的である。ハイダ族 、クリー 等個々の部族を指すときは部族名の後に「ファースト・ネーション」をつける(例:ハイダ・ファースト・ネーション)ことも多い。また、現在ではネイティブ・カナディアン[ 原 15] という呼称が使われることは少ない。
ネイティブ・アメリカン
近年アメリカ合衆国 では「インディアン」という呼称自体が差別的であるとして、また間違った命名の歴史を反映としているとして使わなくなってきている。アメリカ合衆国ではMLB球団のクリーブランド・インディアンスがこれを理由に、2022年 からクリーブランド・ガーディアンズ に改称した[ 8] 。
現在、アメリカ合衆国では、先住民は「ネイティブ・アメリカン [ 原 16] 」と呼ばれることが多い。この単語は、アメリカ合衆国内務省 インディアン管理局 (BIA)の意向を受けて「インド人[ 原 17] 」を祖先に持つ「インド系アメリカ人[ 原 18] 」と区別するために、人類学 者が作った造語である[ 注 8] 。1960年代にBIAが、そのサービス対象グループに対して使用を始めた[ 9] 。
ネイティブ・アメリカン はアメリカ合衆国 内の先住民全般、つまり「インディアン」、「サモア人 」、「ミクロネシア人 」、「アレウト」、「ハワイ人 」、「エスキモー」全てを含む場合がある。当初はインディアンとアラスカ先住民(アラスカ・インディアン、エスキモー、アレウト)を指しており、のちに連邦の枠組みに入るハワイ先住民と太平洋諸島民などを含むようになった。
一方、歴史的呼称としての「インディアン」に誇りをもつインディアン達の中には、これをあくまで自称とし、またその名称を替えること自体が差別的であるとするものもいる。インディアン運動家たちには『アメリカ・インディアン』を主張するものもある[ 9] 。(→ネイティブアメリカンの呼称論争 (英語版 ) )
「アメリカン・ヘリテージ英語辞典 第4版」には、「『ネイティブ・アメリカン』の承認は、『インディアン』の消滅をもたらさなかった。一度『ブラック』が好まれるようになると、あっという間に『ニグロ』が嫌われたのとは異なり、『インディアン』はアメリカ人の大多数で、決して嫌われることはなかった。」との記述も見られる。
チェロキー族 の作家であるクリスティーナ・ベリーは「アメリカ・インディアン」も「ネイティブ・アメリカン」も、両方とも、様々なインディアンの民族の違いをぼかすので使用を避け、各部族名を使うべきであると主張している[ 10] 。
インディヘナ、ナティーボ、プレイスパニコなど
『インディオ の使徒』バルトロメ・デ・ラス・カサス
インディオ という言葉に侮蔑的な響きがあることから、ラテンアメリカ では、現在は先住民 のことをナティーボ (nativo ,旧来の住人の意)やプレイスパニコ (prehispánico , スペイン以前の意)、インディヘナ (indígena ,土着の人)などということが多くなってきている。また、カンペシーノ (campesino , 都市に住んでいない人)やアンテセデンテス (antecedentes , 先祖)という表現をすることもある(いずれもスペイン語。ポルトガル語では、例えばナティーヴなど)。
1920年代 頃よりホセ・カルロス・マリアテギ 等を中心にインディヘニスモ (先住民の復権)が唱えられるにつれ、先住民という意味の「インディヘナ (Indígena )」(ポルトガル語ではインディジェナ)という呼び方も普及していった。
既に述べたように、インディオという言葉には侮蔑的な響きがあり、差別用語であるともされる。ホセ・デ・サン=マルティン 将軍がペルーを解放した時は、先住民をインディオと呼ぶことをやめるべきだと述べ、一世紀半後にフアン・ベラスコ・アルバラード 将軍の革命政権はこの考えを実践して公的な文書の中でインディオと呼称することをやめ、カンペシーノ(農民)と呼称することを定めた。現在、多くの国では一般的には先住民を表す時にはインディヘナの名称が使われる。しかし、当のインディオの側から自分達の歴史をインディヘナという言葉によって消し去られるのは屈辱だという声も聞かれ、言い換えを拒否する動きもある。
初期アメリカ人
学術の分野では、近年「初期アメリカ人 [ 原 19] 」という呼称が使われることがある[ 11] [ 12] 。
人類学的特徴
アメリカ先住民は人種的にはモンゴロイド に属すとされる[ 13] が、新モンゴロイド のエスキモーを除き、赤みがかった黄褐色の肌を持つなどユーラシアのモンゴロイドとは異なる点もあることから、「アメリンド人種」とされる場合もある。エスキモー を除くアラスカ 、カナダ 、アメリカ合衆国 北部の部族は肌の色が赤黒く鼻筋が通り高く盛り上がっておりワシ鼻である人が多い。
アメリカ先住民はモンゴロイドの一亜型であるエスキモー (エスキモー人種 )とモンゴロイド的特徴が希薄なインディアン(アメリンド人種 )に大きく二つに分け、インディアンの分類はヴァロワにならい北・南アメリカの西半分に住む短頭型のニ群『北太平洋インディアン又はアリューシャン人種 又はコロンビア人種(ナ・デネ 系民族)』、『南太平洋インディアンはソノーラ人種 、プエブロ・アンデス人種 、地峡人種 に細分される』と東側に住む中頭型のニ群『北大西洋インディアンインディアン又平原人種 又はダコタ人種ともいい西部劇でおなじみの赤色インディアン はこの人種に属する。アレゲニー山脈より東に住む人々をアパラチア人種 と呼ぶことがある。』、『南大西洋インディアン又はアマゾン人種 (グアラニー族 等)』とその他のニ群『古層インディアン又はラゴア・サンタ人種 (ヤーガン族 等)』、『パンパ・インディアン又はパタゴニア人種 (テウェルチェ族 等)』に分類出来る[ 14] 。
遺伝的には東ユーラシアの諸民族に最も近い。Y染色体ハプログループ はほとんどをQ系統 が占める[ 15] [ 16] [ 17] 。ミトコンドリアDNAハプログループ はA 、B 、C 、D 、X が見られる。
起源と歴史
一般に、アメリカ州への先住民族の移住は1.アメリンド、2.ナ・デネ 、3.エスキモー・アレウト の3波が存在したと考えられている。
インディアン/インディオの祖先は、約2万5000年前にシベリア に進出したモンゴロイド である。当時は最終氷期 の最盛期で、現在のベーリング海 は陸地のベーリンジア になっており、ユーラシア大陸 からアラスカ に歩いて移民できた。ベーリング海峡が海に戻った1万4000年前より前に、彼らはアラスカまで進出したはずだが、考古学的証拠は乏しく正確な時期は特定できない。約1万5000年前、古モンゴロイドはカナダを超えアメリカ合衆国本土 へ渡り、クローヴィス文化 の担い手のパレオインディアン となった。彼らがインディアン/インディオの直接の祖先であり、1000年で南米南端まで広がった。近年では最初期のアメリカ先住民(アメリンド)はアメリカ西海岸を氷床を避けて南下していったとする見方が有力である。ただし論争はあるものの、クローヴィス以前の可能性がある遺跡がいくつか見つかっており、パレオインディアン以前の住民がいた可能性もある。インディアン/インディオの遺伝的多様性 はクローヴィスより古い起源を示唆しており、彼らがインディアン/インディオの祖先の一部となった可能性もある。
ナデネ語族 を話すディネ はアメリカ大陸における移住拡散の第2波と考えられる。ハプログループQに加え、ハプログループC2 (Y染色体) を中頻度に保有する[ 15] [ 18] [ 19] 。
エスキモー・アレウトは、おそらく比較的最近にシベリアからアラスカに進出し、グリーンランドまで拡散した。寒冷な気候に適応して進化した新モンゴロイド である。
また、紀元前にヨーロッパから北米に移住があったとする見方もあり[ 20] 、遺伝子からも、欧州に多いY染色体-R 、mtDNA-X が北米東部でかなりの頻度で観察される[ 15] [ 18] [ 21] [ 22] [ 23] ことから、有史以前のある時期にヨーロッパ からの直接移住が存在した可能性がうかがえる。
加えて南米原産のサツマイモ がコロンブス以前のポリネシア から発見されていることから、ポリネシア人 が南アメリカ大陸から持ち込んだと考えられ、南アメリカ大陸と交流があったと思われるが、ポリネシア人がアメリカ先住民の遺伝子プール に与えた影響などは不明である。
なお、インディアンの神話伝説では「亀の島」(アメリカ大陸のこと)が水の中から隆起した時に、その中心から現れた人類の祖先こそインディアンであると伝えている[ 24] 。
大航海時代 以降は、ヨーロッパ人との混血、アフリカ 黒人 との混血が進んだ部族も多い。純血の民族はメキシコ 、グアテマラ 、エクアドル 、ペルー 、ボリビア などに多く存在する。しかしブラジル やアルゼンチン 、ウルグアイ などのスペイン人と激烈な戦いを繰り広げた地域では、純血な先住民はスペインによる侵略 により、大幅に数を減らしている。アメリカ大陸にいた先住民はヨーロッパ人の持ち込んだ伝染病、奴隷制度 、レイプ、戦争による殺戮によって、1491年に西半球には約1億4500万人の人々が住んでいたが、1691年には、アメリカ先住民の人口は90-95%、約1億3千万人も減少したとされる[ 25] 。
アメリカ合衆国においては白人入植者によってインディアン戦争 に代表される北米植民地戦争 がおこなわれた。この戦争は白人、主にキリスト教徒 によって行われた大量虐殺 、民族浄化 、強制移住 であった。これらの戦争の影響により、インディアンは今日でも貧困 やアルコール依存症 などの問題に苦しみ続けている。また、インディアンはブラックヒルズ など白人に奪われた土地の返還を求めて闘い続けているが、アメリカ合衆国政府 や政府を支持する人々は土地を返還するつもりはない[ 26] [ 27] [ 28] [ 29] [ 30] [ 31] [ 32] [ 33] [ 34] [ 35] 。
一覧
アメリカ合衆国とカナダ
アメリカ合衆国およびカナダの在来の民族を、アメリカ合衆国の領有する太平洋諸島の民族を除いて、共有される文化的特性を備えた10の地理的な地方に分類するのが一般の民族史学者の見解であったが、現在は太平洋諸島民を含む11の地理的分類が通例となっている。
北極のエスキモー、イヌイット、アレウト
亜北極のインディアン
アトナ Ahtna, Ahtena, Nabesna
アティカメク Atikamekw, Attikamekw、Attikamek、Attimewk, Atikamek
バビーン en:Babine
ベアレイク Bearlake
キャリアー (ダケル ) Carrier(英語名), Dakelh, Dakelhne(複数形)
チペワイアン Chipewyan
チルコーティン Chilcotin
クリー Cree
インガリック en:Deg Hit’an (Deg Xinag, Deg Xit'an, Deg Hitan, Degexit'an, Ingalik, Ingalit, Inkaliten, Inkality, Kaiyuhkhotana)
デナイナ en:Dena’ina
ドグリブ Dogrib, en:Tli Cho
グウィッチン Gwichʼin, Kutchin, Gwitchin)
ハイダ en:Haida
ハン en:Hän language
ディネ Dene:カナダのアサバスカ語系狩猟民族ヘア (Hare)を指しチペワイアン 、グウィッチン も含み、またアメリカ合衆国でのナバホ族 (Navajo)」および「アパッチ族 (Apache)」も含む
ホリカチャック en:Holikachuk , Innoko, Organized Village of Grayling, Innoka-khotana, Tlëgon-khotana
インヌ (ナスカピ族) en:Innu , Naskapi
カスカ en:Kaska , Kaska Dena, Nahane
コルチャン en:Kolchan language , Upper Kuskowim
コユーコン en:Koyukon 1898年のコユーコン族
マウンテン Mountain
ニスカ (ニシュガ、ニスガ) Nishka, Nisga'a
オジブワ Ojibwa
セカニ en:Sekani
スレービー en:Slavey スレービー族の少女たち
タギシュ Tagish, Tagish Khwáan
タールタン en:Tahltan , Nahanni
下タナナ cf.en:Lower Tanana language
中タナナ Middle Tanana
高地タナナ en:Upper Tanana language
タナクロス en:Tanacross language
ダネザ en:Dunneza , Tasttine, Dunne-za, Beaver
タナイナ Tanaina (方言:クック入り江、イリアムナ、カチェマック湾、キナイ、スシツナ川)
トリンギット Tlingit, Lingít
ツェツァウト en:Tsetsaut language
ツィムシャン *en:Tsimshian
北トゥトチョネ en:Northern Tutchone
南トゥトチョネ en:Southern Tutchone
ウィツウィテン en:Wet'suwet'en , Hwotsotenne, Witsuwit'en, Wetsuwet'en
イエローナイフ en:Yellowknives , Yellow Knives, Copper Indians, Red Knives or T'atsaot'ine
カリフォルニアのインディアン
東部森林地帯のインディアン
伝統衣装をまとったアベナキ族 男性
グレートベースン(盆地)のインディアン
北西高原地帯のインディアン
北西太平洋岸のインディアン
大平原地帯のインディアン
伝統衣装をまとったスー族 の戦士、ジトカラ・サ(19世紀の撮影)
アラナマ Aranama テキサス州
アラパホー Arapahoe ワイオミング州 、オクラホマ州
アシニボイン Assiniboine モンタナ州 ※ペック砦保留地: アシニボイン族とダコタ族が住む
アトシナ 、またはグロー・ヴァントル Atsina or Gros Ventre (a'aninin) モンタナ州
ベサウネナ Besawunena
スー Sioux(ラコタ 、ナコタ 、ダコタ ) ミネソタ州 、ネブラスカ州 、サウスダコタ州 、ノースダコタ州 、カナダ・サスカチュワン州
ラコタ 、テトン Teton(サウスダコタ州 、ノースダコタ州 、ネブラスカ州
ブラックフット (Blackfoot or Sihasapa)(シハサパ族)
※ブラッド族、シクシカ族、ピーガン族のことを指すブラックフットとは別の部族である。どちらも「黒い足」という意味なので、英訳の際に混同されることになった。前者はブラックフット・スー、後者はブラックフィートとも呼ばれる。
ブルーレ (シチャング族)
オグララ Oglala
ナコタ nakota
ダコタ Dakota、サンティー、Santee
ブラックフット(シクシカ) Siksika、Kainai、Piegan.(Blackfoot or Blackfeet) モンタナ州 (現在)
ピーガン ・ブラックフット Piegan ※シクシカ族
カドー Caddo テキサス州 、オクラホマ州
シャイアン Cheyenne モンタナ州 , サウスダコタ州 ; オクラホマ州
チカソー Chickasaw オクラホマ州
コマンチェ (Comanche) オクラホマ州
クロウ Crow (アプサロケ族 Absaroka or Apsáalooke) モンタナ州 , サウスダコタ州
平原クリー Plains Cree モンタナ州
ハシナイ Hasinai アーカンソー州 、テキサス州 ※カドー族
アイオワ (Ioway) カンザス州 , ネブラスカ州 , オクラホマ州
カランカワ Karankawa テキサス州
カンサ Kaw(Kansa) オクラホマ州 ※コー族
カイオワ Kiowa オクラホマ州
カイオワ・アパッチ Kiowa Apache オクラホマ州
キツァイ Kitsai テキサス州
MHA Mandan, Hidatsa, and Arikara Nation ノースダコタ州
リパン ・アパッチ Lipan テキサス州
ミズーリ Missouri (Missouria) ミズーリ州
ナワティネヘナ Nawathinehena
平原オジブワ Plains Ojibwe
オマハ Omaha ネブラスカ州
ミシサガ Mississaugas カナダ・オンタリオ州
オーセージ Wazhazhe Osage オクラホマ州
オート Otoe(Oto) オクラホマ州
オタワ Ottawa Michigan; オクラホマ州
ポーニー Pawnee(Dialects: South Band, Skiri) オクラホマ州
ポンカ Ponca ネブラスカ州 、オクラホマ州
クアポー Quapaw アーカンソー州 、オクラホマ州
サーシー Sarsi (Sarcee)
ソーク Sauk (Sauk First Nation) (originally Great Lakes now カンザス州 , オクラホマ州 , アイオワ州 ※アサキワキ族、サック族
ストーニー Stoney モンタナ州 、カナダ・アルバータ州
タミケ Tamique
トンカワ Tonkawa オクラホマ州
ウィチタ Wichita オクラホマ州 [Affiliated Tribes - Wichita, Waco, Tawakoni, Keechi]
ワイアンドット Wyandot (ヒューロン Huron) カナダ・オンタリオ州 、ミシガン州
南東部のインディアン
南西部のインディアン
中南米
中南米 の先住民は、言語、環境及び文化的類似性によって分類するのが一般的である。
カリブ・インディアン
中米のインディアン・インディオ
メキシコ・インディアン初の大統領、ベニート・フアレス (サポテカ族 )
エクアドルのオタヴァレノ族 の少女
アンデスのインディオ
ケチュア族の女性
ケチュア Quechua
アイマラ Aymara
Diaguita
Atacameño
Saraguro
サブアンデスのインディオ
アマゾン川流域のインディオ
アマゾン川流域西部のインディオ
ヤノマミ族 の子供
アマゾン川流域中央部のインディオ
アマゾン川流域東部及び南部のインディオ
南米大陸南部(パンパ,パタゴニア,南端部)の先住民
言語
エスキモー・アレウトの言語は1つの語族エスキモー・アレウト語族 を構成する。インディアン/インディオの言語は非常に多様であり、分類が進んでいない。
その他、孤立した言語 も多数ある。
脚注
原語表記
^ 英 : East Indian
^ 英 : American Indian
^ 英 : Red Man
^ 英 : Red Indian
^ 英 : Uncle Tomahawk
^ 英 : Amerind
^ 英 : First Nations
^ 英 : First Peoples
^ 英 : Indigenous Peoples of America
^ 英 : Aboriginal Peoples
^ 英 : Aboriginal Americans
^ 英 : Amerindians
^ 英 : Native Americans
^ 英 : Native Canadians
^ 英 : Native Canadian
^ 英 : Native American
^ 英 : Indian
^ 英 : Indian American
^ 英 : early Americans
注釈
^ NFLチームの「ワシントン・レッドスキンズ 」のレッドスキンズ (英 : Redskins )は、「赤い肌の連中」という意味であり、インディアン権利団体はこの名称の変更を要求して抗議を繰り返していた。2022年より同チームは「ワシントン・コマンダース 」に改称した。
^ 『トム・ソーヤーの冒険 』にも出てくる。
^ 黒人達が「ブラック・パワー運動」のなかで、「白人にこびへつらう黒人」のことを「アンクル・トム 」と呼んだのに引っ掛けて、インディアン達も「レッド・パワー運動」のなかで、「白人にこびへつらうインディアン」のことをこう呼んだ。
^ テレビ西部劇の『ローン・レンジャー 』で、主人公の白人ガンマンの相棒を務めるインディアン青年の名前。
^ 植物の育たない極地において、肉と魚を生で食べることでビタミンとミネラルを摂取できる。
^ この主張自体は1920年代 から既に存在していた。
^ 彼らの言語に促音 は存在しないので「イヌイト」のほうがより正確である。
^ この「ネイティブ・アメリカン」とする場合の表記は、一般的には先頭に「大文字の「N」が使用される。
出典
^ “Página no encontrada ”. 4 March 2016時点のオリジナル よりアーカイブ。2015年12月12日 閲覧。
^ アメリカ先住民
^ アメリカ内務省BIA 公式規定より
^ アメリカインディアン
^ インディオ
^ 大修館書店刊『ジーニアス英和辞典 改訂版』(1994年)
^ スチュアート・ヘンリ「民族呼称とイメージ―「イヌイト」の創成とイメージ操作」『民族学研究』第63巻2号、1998年 9月
^ Hoynes, Paul (Nov. 19, 2021). “Cleveland Indians will officially become Cleveland Guardians on Friday” . cleveland.com . https://www.cleveland.com/guardians/2021/11/cleveland-indians-will-officially-become-cleveland-guardians-on-friday.html
^ a b インディアン管理局 (BIA) の公式な質疑応答テキストによる
^ クリスティーナ・ベリー『名前には何があるの?インディアンとポリティカル・コレクトネス 』
^ ニュース - 古代 - アラスカで氷河期の子どもを発見 - ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト 2011年2月25日
^ 今関恒夫, 「初期アメリカ人の社会的出自 」『同志社アメリカ研究』 10号 p.20-41 1974年, ISSN 04200918 , doi :10.14988/pa.2017.0000008725 , 同志社大学アメリカ研究所
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