『善きサマリア人のいる風景』(よきサマリアびとのいるふうけい、蘭: Landschap met de barmhartige Samaritaan, 波: Krajobraz z miłosiernym Samarytaninem, 英: Landscape with the Good Samaritan)は、オランダ黄金時代の巨匠レンブラント・ファン・レインが1638年に制作した絵画である。油彩。主題は『新約聖書』「ルカによる福音書」で語られている善きサマリア人のたとえ話から取られている。ワルシャワ王宮に所蔵されている『額縁の中の少女』(Jonge vrouw in een schilderijlijst)および『書見台の学者』(Geleerde aan een lessenaar)とともに、ポーランドのコレクションが所有する3点のレンブラント作品の1つ。長らくポーランドとリトアニアの大貴族であるチャルトリスキ家の美術コレクションに含まれていたことで知られる。現在はクラクフのチャルトリスキ美術館に所蔵されている[1][2][3][4]。また同主題の絵画がロンドンのウォレス・コレクションに所蔵されている[5][6]。
絵画の制作経緯や初期の来歴は不明である。最初に記録に現れるのは1766年のデン・ハーグの美術収集家M・D・エヴァースダイク(M. D. van Eversdijck)のコレクションとしてであり、同年5月28日の競売で売却されている。その後、絵画はパリに移り、美術収集家ジャン=アントワーヌ・ド・ヴァサル・ド・サン=テュベール(Jean-Antoine de Vassal de Saint-Hubert, 1741年-1782年)が所有していたが、1774年1月17日の競売でフランス人画家ジャン=ピエール・ノルブラン・ド・ラ・グルデーヌによって購入された。ポーランドで活動していたノルブランはおそらくアダム・カジミェシュ・チャルトリスキ公爵のために本作品を購入した。チャルトリスキ・コレクションの記録に最初に現れるのは1809年から1828年にかけてである[4]。