『疑惑』(ぎわく)は、松本清張の推理小説。「昇る足音」の題で『オール讀物』1982年2月号に掲載され(掲載時の挿絵は濱野彰親)、改題の上、同年3月に文藝春秋から中篇「不運な名前」を併録して発刊された。
1982年に松竹系で映画化され、またこれまで5回テレビドラマ化されている。
あらすじ
T市の新港湾(映画版では富山新港湾)の岸壁で、鬼塚球磨子(おにづかくまこ)と夫・白河福太郎の乗った車が、時速40キロのスピードで海へ突っ込み、夫が死亡する事件が起こった。球磨子は車から脱出し助かったが、保険金殺人と疑われ警察に逮捕される。
新聞記者の秋谷茂一は、球磨子が新宿でのホステス時代にヤクザとつるんで詐欺・恐喝・傷害事件を起こしたこと、資産家である福太郎と結婚した直後、夫に巨額の生命保険をかけたことを詳細に報じた上で、球磨子を「北陸一の毒婦」と糾弾する署名記事を書いた。秋谷の記事を契機に他のマスコミも追随、日本中が球磨子の犯行を疑わないムードになった。
裁判の途中から球磨子の国選弁護人を引き受けた佐原卓吉(映画版では佐原律子、2019年ドラマ版では佐原卓子)は民事専門で刑事弁護の経験に乏しかった。球磨子の犯行を確信する秋谷は、佐原に状況を覆す力はないと高をくくっていた。
しかし佐原は意外にも証人尋問で球磨子に不利な証言を巧みに覆してゆき、球磨子が無罪となる観測も出始める。球磨子の過去の行状から、秋谷は自由の身となった球磨子がヤクザを率いて「お礼参り」にやってくるのではないかと怯える。
佐原は球磨子が事件を起こしたのではなく、福太郎が無理心中を図ったと推理。車内に残された遺留品からその方法を解明して秋谷に説明し「彼女を救い出す」と自信を見せる。
佐原は事務所で球磨子の無罪を主張する弁論要旨を執筆する。恐怖のあまり正常な神経を失った秋谷が鉄パイプを手に事務所の前に現れるところで物語は終わる。
登場人物
| この節には内容がありません。 加筆して下さる協力者を求めています。 (2019年4月) |
書誌情報
翻訳
映画
1982年9月18日に公開された。製作は松竹・霧プロダクション、配給は松竹・富士映画。原作の焦点は新聞記者・秋谷に当てられているが、映画では、桃井かおり演じる被疑者・球磨子と、岩下志麻演じる女性弁護士・佐原の心理的関係に焦点が当てられている。英語題名『Suspicion』。現在はブルーレイ、 DVD化されている。
出演
- 白河(鬼塚)球磨子
- 演 - 桃井かおり
- 恐喝・傷害などで前科四犯の悪名高い女。福太郎の3億円にも上る保険金の受取人となっている。弁護士はいるが、作中では保険金殺人で死刑判決もあり得ると知り、自身も六法全書を読んだ上で裁判に臨んでいる。子供の頃に養子に出されたり、ホステスとして働いたり、クラブ経営や福太郎に会う前に離婚歴などもあり波乱に満ちた人生を送る。
- 佐原律子
- 演 - 岩下志麻
- 国選弁護人として球磨子の裁判を弁護する。本来民事裁判専門だが、弁護士として有能。裁判中も感情的な言動をする球磨子にも凛とした態度で対応する。証言者たちには、緩急をつけた話し方で証言の矛盾点を探る。離婚経験があり、娘のあやこと月に一度会うことを楽しみにしている。
球磨子に関わる主な人物
- 秋谷茂一
- 演 - 柄本明
- 事件を追う記者。当初から福太郎の死亡事件は、球磨子による犯行と睨んで取材を行う。新聞記者としての使命感を持ち、親しい刑事たちから情報を聞きこんだり、球磨子の釈明会見で強気な態度で直接疑問をぶつけたりしている。球磨子と親しい豊崎から証言を得るため近づく。
- 豊崎勝雄
- 演 - 鹿賀丈史
- 球磨子の元彼。3年前に詐欺事件を起こし仮釈放中の身で、球磨子のヒモ状態。過去に球磨子の前夫の土地・家屋を共謀してせしめたことがある。事件前に球磨子と会って福太郎の事件と似たような自動車事故の『ケネディ事件』について話したことがあると証言する。
- 白河福太郎
- 演 - 仲谷昇
- 作中では富山で有名な白河酒造の社長。球磨子の夫でお互い再婚同士。車の事故(ほどなくして事件扱い)により死亡。球磨子によると泳ぎは苦手だが釣り好きなこともあり、福太郎が言い出して多額の保険に入ったとのこと。生前、球磨子に惚れ込んでいたが、気弱な性格で親族や球磨子どちらにもいい顔をしていた。
警察関係者
- 山崎捜査係長
- 演 - 新田昌玄
- 直接捜査を仕切る刑事。保険金殺人疑惑の釈明会見で警察を挑発した球磨子を敵視して捜査にあたる。
- 小林刑事
- 演 - 河原崎次郎
- 事件当初から球磨子が犯人と決めつけて捜査を行う。秋谷とは顔なじみでつい情報を漏らす。
- 刑事課長
- 演 - 山本清
- 確たる証拠がない状態での球磨子の逮捕はできないと慎重かつ確実な態度で殺人による逮捕にこだわる。
- 佐々木刑事
- 演 - 飯島大介
- 球磨子のことを苛立たせる存在として敵視している。小林の先輩刑事。酔うと口が軽くなる。
- 浅野刑事部長
- 演 - 梅野泰靖
- 法医学教授による福太郎の遺体の鑑定結果を受けて刑事たちに報告する。
- 石原署長
- 演 - 小林昭二
- 事件報道がされて数日後、市民から警察署に球磨子を逮捕するよう抗議が殺到したため焦る。
法曹関係者
- 宗方検事
- 演 - 小林稔侍
- 本作の裁判の検事。証言者たちの様々な証言などから保険金殺人の容疑が掛かった球磨子を厳しく追求する。
- 矢沢裁判長
- 演 - 内藤武敏
- 裁判中球磨子が勝手に発言したり感情的な態度を取るため、手を煩わされる。
- 原山正雄
- 演 - 松村達雄
- 白河家の顧問弁護士。球磨子から裁判の弁護を依頼されるが、土壇場になって長年の持病を理由に弁護を断る。
- 岡村謙孝(かねたか)
- 演 - 丹波哲郎
- 弁護士。原山の大学の後輩。原山によると刑事専門の弁護士としては日本屈指の存在とされる。
主な証言者
- 安西教授
- 演 - 小沢栄太郎
- 大学医学部教授。福太郎の遺体を鑑定し、裁判で事故当時福太郎は助手席に座っていたと証言する。
- 藤原好郎
- 演 - 森田健作
- 球磨子と福太郎が乗っていた車の事故の目撃者。裁判では、車を運転していたのは球磨子だと証言する。
- 堀内とき枝
- 演 - 山田五十鈴
- 東京のクラブ経営者で、球磨子の元雇い主。球磨子が福太郎と初めて会った頃のことを証言する。
- 木下保
- 演 - 三木のり平
- 福太郎の釣り仲間。福太郎が亡くなる1ヶ月前に会った時のことを証言する。
福太郎の親族など
- 白河はる江
- 演 - 北林谷栄
- 福太郎の母。周りから『大奥様』と呼ばれる。結婚当初から球磨子のことを良く思っていない。
- 白河宗治(むねはる)
- 演 - 丹呉年克
- 白河家の跡取り息子で中学生。福太郎と前妻の子。球磨子のことを『あの女』呼ばわりして嫌う。
- 島田勝行
- 演 - 水谷貞雄
- 福太郎の義理の弟(福太郎の前妻の弟)。はる江から甥の宗治の後見人を頼まれる。
- 白河藤九郎
- 演 - 大森義夫
- 親族会議で福太郎に、手切れ金を渡して悪評高い球磨子と離縁するように発言する。
- 白河家親族
- 演 - 中村美代子
- 親族会議で、福太郎と球磨子の結婚について白河家が陰口を叩かれるようになったとぼやく。
- 岩崎専務
- 演 - 名古屋章
- 白河酒造の専務。福太郎と球磨子の入籍を事後報告されたり、球磨子の素行の悪さに振り回される。
その他
- 片岡咲江
- 演 - 真野響子
- 哲郎の後妻。あやこの育ての親。実の子のように愛情を持ってあやこに接している。
- 片岡哲郎
- 演 - 伊藤孝雄
- 一人娘のあやこを引き取り後妻・咲江と暮らす。律子と離婚した時の条件として月に1度あやこを律子に会わせる。
- デスク
- 演 - 小美野欣士
- 秋谷の同僚記者
- 演 - 羽生昭彦
- 記者
- 演 - 城戸卓
- 交通課警官
- 演 - 森下哲夫
- 鑑識課員
- 演 - 遠藤剛
- 警察署受付
- 演 - 小森英明
- 弁護士会幹部
- 演 - 神山寛
- 陪席判事
- 演 - 加島潤
- 看守
- 演 - 小田草之介
スタッフ
受賞歴
エピソード
撮影前
- 製作発表は1982年7月9日、東京の帝国ホテルで行われたが、会見後には桃井かおり・岩下志麻と清張の対談が設定された[注 7]。その後も清張は本映画のロケーションを見学し(『岡倉天心 その内なる敵』の取材を兼ねていた)、出演者と交流した。完成披露試写会は、9月8日に丸の内ピカデリーで行われた[2]。
- 本作は、1974年に実際に発生した別府3億円保険金殺人事件をヒントに松本清張に小説を書いてもらい、それを原作に映画製作が決まった[3]。映画の製作発表からまもなく、上記事件の被疑者Aから、原作者宛に手紙が来た。『疑惑』に書かれた内容は自分のことそのものであるとし、事件に関する意見を原作者に要求するものであったが、清張は事件は創作のヒントにしたにすぎないとして、関与を断った[4]。
作中での女同士の闘い
- 松本が完成させた小説の主役は男性新聞記者だったが、野村芳太郎は女同士がぶつかり合う物語を作りたいと考えた。また、原作の内容量もそのまま映画にするには尺が足りなかったため、野村は脚本(肩書きは撮影台本)の古田求に主人公を球磨子と律子の女性2人にした上で、内容も増やしてシナリオを書き直すよう指示した[3]。岩下は後年、「松本清張先生の原作ミステリーの面白さに女同士の闘いという要素を入れたことが、本作が成功した大きな要因だと思います」と評している[3]。
- 律子とお互いに本音をぶつけながら、球磨子が彼女の白い服にボトル入りの赤ワインをダラダラとかけるシーンは、元々台本になかった。これは、古田がアメリカ映画『愛と喝采の日々』で2人の女性ダンサーが本音をぶつけながらバッグで殴り合うシーンにヒントを得て野村に提案し、採用されたもの[3]。このシーンで律子の服にワインをかける演出は、桃井のアイディア。桃井からこの案を聞いた岩下はワインの赤を引き立たせるため、元々用意されていた柄物の衣装から純白の服に替えてもらった[3]。球磨子のこの行動に対し、岩下はグラスのワインを彼女の顔に勢いよくかけることで、2人の対照的な性格を際立たせた[3]。本作の完成後、古田は野村から「律子と球磨子が本音をぶつけ合うあのシーンがあったから、この映画は締まった」との言葉をもらった[3]。
桃井に関して
- 桃井かおりは、球磨子役のオファーを受けた経緯を次のように語っている。「週刊誌的には私自身がわけもなく嫌われていて最悪な状態だったんで、「いまさらこの役をやる必要はないでしょ」と、うちの事務所は全員大反対(笑)。でも、(中略)等身大の桃井ネタは尽きたと思っていたので、いっそすごく嫌な人とかダメな人を少し作って演じてみたい、とにかく演じたいという気持ちが強かったんですね。球磨子のような人だと思われてこそ大成功くらいの気持ちで、思いっきりやってみようと思ったんです」[5]。
- 桃井は当時すごく“とがった”女優のイメージを持たれていたため、岩下は撮影期間中、仕事関係者などから「彼女と上手くやれているか?」とよく心配された。岩下によると、「桃井さんとはすぐ仲良くなり、撮影の合間に2人で馬鹿話をしたこともありました。今(2022年現在)でもたまに電話で喋ることもあります」と答えている[3]。
- 桃井は台本を読んだ上で、多くのシーンにアドリブを取り入れて演じ[注 8][注 9]、野村も本筋から逸れない範囲で彼女に自由にセリフを言わせていた[3]。対して長年松竹で台本に忠実に演技するよう教えられてきた岩下は、桃井のアドリブに当初戸惑った。しかし、徐々に桃井に合わせて自らも即興で返せるようになり、岩下は「初めての経験で刺激的でした」と回想している[3]。
岩下に関して
- 女性弁護士を演じた岩下志麻は、本映画は専門用語が多くセリフも膨大であり、役作りのため、弁護士事務所を訪問したり、家庭裁判所で行われた実際の裁判を3回ほど傍聴したりした[6][3]。その際、弁護士が相手によって言葉遣いをころころ変えていることに気づき、演技に取り入れた[注 10]。
- 岩下は基本的に作品の掛け持ちをほとんどしないが、本作では別の主演映画『この子の七つのお祝いに』と撮影期間が重なった。このことに加え、撮影が7〜8月という真夏に行われこともあり体力消耗が激しく、両作品の全ての撮影終了直後に胃潰瘍にかかるなど、しばらく虚脱状態になったと回顧している[6][3]。
- 撮影自体は大変だったが、岩下は後年「律子はサバサバしていて誰に対してもズバズバものを言うタイプ。私はそういう女性が好きなので、演じていてとても楽しかった」と回想している[3]。
その他撮影時のエピソード
- 自動車事故のロケは富山新港の南側の公共埠頭で西から東に走るように行われた。実況見分の場面では2015年に移転の旧富山商船高専の実習場と3代目の練習船若潮丸が映っている。
- 富山のロケ先で桃井と原作者が食事をした際、オコゼの唐揚げを注文した清張を見て、桃井は「オコゼ食べちゃうんですか」と言ったところ、清張は「似ているからって、僕が食べちゃいけないの」と返し、いっきに緊張がゆるんで和んだと桃井は回顧している[7]。
- 仲谷昇が演じた球磨子の夫・福太郎役は、当初船越英二が演じる予定だった。しかし脚本を読んだ船越が、「子供への愛情がもっと強く描かれていれば出るが、このままでは出られない」と告げた。しかし、野村監督がこれに関しては脚本の手直しを指示しなかったため、結局船越は役を降りた[3]。
- 岩下と山田五十鈴は、本作が初共演である。岩下は、女優として大先輩である山田との共演を以前から望んでいたため、彼女との撮影の日は朝から内心ウキウキしていたという[3]。
- 作中では、中盤の大部分が裁判のシーンとなっている。裁判シーンは一般的に、お互いに証言台に立って意見を言い合うだけなので画面が単調になりやすいとされる。本作では観客を飽きさせない工夫として、証人の言葉に対して球磨子が怒鳴ったり暴れるなどの派手なリアクションを取り入れている[3]。脚本を担当した古田は本作の完成後、松本清張から「裁判シーンはよく書けていた」と褒められた[3]
松本清張やスタッフに関して
- 映画のラストに関しては、原作者と監督の野村芳太郎の間で、意見の対立があった。野村は弁護士が事件の真相を見破り球磨子が救われる結末を主張したのに対し、清張はあくまで辛口の終わり方を主張、結局、清張の意見が通った。本映画は清張が脚本の前半を実際に執筆したものの、実際の映画は古田求と野村の書いた部分が大半を占めることになったとされている[注 11]。脚色として清張の名がクレジットされているのは、このことと上記の書き直しが理由となっている[9][3]。
- 古田求によると、清張は本作の完成まで脚色扱いとなったことを知らされていなかった[3]。ただし清張は特に怒ってはおらず、完成後のパーティーで桃井に「僕が書いたのとはかなり違う。でも僕が書いていないことは見る人が見れば分かるよ」と言いながら笑っていたという[3]。
- 当時脚本家として駆け出しだった古田は本作で初めて野村と仕事をし、彼から役者の見せ方などシナリオ作りの様々な技法を教わった[3]。これにより古田は本作の脚本において野村と共に映画の脚本賞を受賞した(上記・受賞歴を参照)。古田は後年、「本作に関われたことは、私がその後も脚本家としてやっていく上での自信となりました」と語っている[3]。
テレビドラマ
1992年版
「松本清張スペシャル・疑惑」。1992年11月13日21時2分 - 22時52分に、フジテレビ系の『金曜ドラマシアター』で放送された。
キャスト
スタッフ
2003年版
2003年3月22日21時 - 22時51分に、テレビ朝日系の『土曜ワイド劇場』で、同番組の25周年記念スペシャル、松本清張没後10周年特別企画として放送された。
キャスト
スタッフ
脚本の竹山にとって、2000年代に入って初めての松本清張作品だった[12]。竹山は本作以降、2010年代末期まで、数々の清張作品の脚本を執筆、また本作については更に2作のリメイクドラマの脚本も手がけることになる。
2009年版
テレビ朝日の開局50周年記念と、松本清張の生誕100周年を記念して、2009年1月24日21時 - 23時21分にテレビ朝日スペシャルドラマとして放送された。視聴率は18.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム)。事件の舞台を金沢市としている。
主役の田村にとって、松本清張作品への出演は1984年放送の「松本清張の地の骨」(フジテレビ)以来25年ぶりであった。なお、カースタントではメルセデス・ベンツCクラス(W202)が使用された。
同局系列で放送された2003年版に続いて竹山が脚本を担当、弁護人と被告に焦点を当てて脚本に改稿を加えている。
本作を皮切りに2012年まで、田村は毎年松本清張作品に主演、その後も16年の最終出演まで、清張作品への主演が田村晩年の仕事の柱の一つとなった。
2021年5月23日、本作が田村正和の追悼特別番組として再放送された。
キャスト
スタッフ
遅れネット局
告発〜国選弁護人
本作に登場する国選弁護士・佐原を主人公に設定した連続テレビドラマ『告発〜国選弁護人』が、テレビ朝日系で、2011年1月13日から3月3日まで放送された。同ドラマは、『疑惑』に加え、清張の他の短編作品をベースとしたオリジナル脚本に基づき制作されている(エンディングにて、「このドラマは、松本清張原作『疑惑』を参考に、同原作『○○』を挿入して、全体はオリジナルでつくられたフィクションです」とのテロップが流された)。佐原(同ドラマ中での名前は卓治)は、2009年版テレビドラマと同じ田村正和が演じている。
2012年版
「松本清張没後20年特別企画 疑惑」のタイトルで、2012年11月9日21時 - 23時17分にフジテレビ系「金曜プレステージ」にて放送された。平均視聴率14.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム)。
これまでのテレビドラマ版は全て、原作準拠の男性弁護士・女性被疑者の組み合わせで描かれてきたが、今回は映画版同様、女性弁護士と被疑者に焦点をあてた人物設定を採り、2012年の時代と裁判員制度も取り込んでいる。事件の舞台は新潟県の「西新潟市」としている。カースタントでは、BMW528i(E39)が使用された。
キャスト
スタッフ
2019年版
『松本清張ドラマスペシャル 疑惑』のタイトルで、「テレビ朝日開局60周年記念」として同局系列の「日曜プライム」にて2019年2月3日の21時 - 23時5分に放送された[14][15]。事件の舞台を熱海市としている。また2018年8月4日に逝去した津川雅彦の遺作、最後の出演作品となった[14][15][16]。
キャスト
スタッフ
同局系列で放送された2009年版に続いて竹山が同作3度目の脚本を担当、女性同士の闘いの要素などを加え、更に脚本を改稿した。多数の清張作品を手がけてきた竹山が脚本を担当した、最後の清張作品となった[注 12]。
|
---|
一覧 | |
---|
あ行 | |
---|
か行 | |
---|
さ行 | |
---|
た行 | |
---|
な行 | |
---|
は行 | |
---|
ま - わ行 | |
---|
関連項目 | |
---|
カテゴリ 一覧(作品・映画) |
舞台版
2014年10月4日から26日まで、京都四條南座にて「南座ミステリー劇場」として上演された。
キャスト
スタッフ
脚注
注釈
- ^ 『青春の門 自立篇』と併せての受賞。
- ^ 『セーラー服と機関銃』等と併せての受賞。
- ^ 『幻の湖』と併せての受賞。
- ^ 『道頓堀川』と併せての受賞。
- ^ 『道頓堀川』と併せての受賞。
- ^ 原田・松本共に『道頓堀川』と併せての受賞。
- ^ 『疑惑戦線-松本清張スーパー・ドキュメントブック』(1982年、工作舎)に、鼎談「男が疑う、女が惑わす」が収録されている。
- ^ 実際には、各撮影日の前日に自らセリフをアレンジし、本番ではそれに合わせてアドリブで動作を付けるなどした。
- ^ 一例として、球磨子が律子との初対面のシーンで「嫌いだな〜私、あんたの顔」というセリフ。また、「鬼塚球磨子って名前がよくないのよ。これが“早乙女静香”とかなら印象が違うと思うな」というセリフも桃井のアイディア[3]。
- ^ 本人によると、「裁判を見て思ったのは“弁護士は演技者”ということ。その様子を参考に、本作では証人によって質問時の言葉遣いや表情を色々と変えました」とのこと[3]。
- ^ 撮影の川又昴や古田求からそのように聞いたと、白井佳夫と西村雄一郎は述べている[8]。
- ^ 竹山が脚本を手がけた清張原作テレビドラマは、新規脚本が全12作、本作のような改稿作品も含めると全16作にのぼる。
出典
外部リンク