ラード(英: lard、伊: strutto[1])、豚脂(とんし)は、調理に用いられる豚の脂肪全般。日本では豚の脂肪組織から精製した食用油脂を「ラード」と呼称する。なお、「ラルド」は豚肉の脂肪で構成された部位を塩漬けに加工した食材を指し、ラードとは別物である。
性質
ラード[2]の脂肪酸組成100gあたり |
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総脂肪 |
100g |
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飽和脂肪酸 ミリスチン酸 (14:0) パルミチン酸 (16:0) ステアリン酸 (18:0) |
39.2g 1.3g 23.8g 13.5g |
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一価不飽和脂肪酸 オレイン酸 (18:1) |
45.1g 41.2g |
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多価不飽和脂肪酸 リノール酸 (18:2) α-リノレン酸 (18:3) |
11.2g 10.2g 1g |
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ラード(豚脂)はヘット(牛脂)や羊脂などと同じく動物性油脂の一種である[3]。常温では固体[3]。
融点はヘット(牛脂)よりも低い[3]。ただし、豚の一般成分は部位ごとに異なっており、豚肉の脂質は部位によって3.5%〜40%と開きがある[4]。豚の皮下脂肪から取ったラードの場合、融点は摂氏34~40度、ヨウ素価は57~66である[3]。これに対し、豚の内臓脂肪から取ったラードの場合、融点は摂氏27~30度、ヨウ素価は67~70である[3]。
ヘットなどの動物性油脂と同じく、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などで構成されるグリセリドを主成分とする[3]。このほかラード(豚脂)はリノール酸も豊富である[3]。
用途
食用
ラード(豚脂)は揚げ物・フライに使う揚げ油のほか、製菓や製パンの材料にも用いられる[3]。また、ラーメンのスープには豚の背の部位の脂が背脂[注 1]としてよく用いられ[5]、スープの上一面に浮かぶためスープが冷めにくくなっている。
トンカツの名店では、豚の脂身からラードを毎日作って日々の営業に使用する店も少なくなく、廃棄物の再利用からこだわりの逸品に至るまで幅広いものとなっている。また、「肉屋のコロッケはうまい」との定評があるが、概して精肉店の揚げ物が家庭料理にない旨みをもつのは、新鮮なラードを揚げ油に使っているためといわれる[6]。もっとも揚げたてを味わうにはよいが、冷めたものは脂っぽく腹にもたれるとする向きもある。衣の香ばしさを強調するときに選ぶべき食材ともされる[7]。
フランスでは主に北および東の地域で、南西でもコンフィなどに使用される[1]。
香港や台湾においてはラードを用いて作るラードご飯(中国語版)という料理があり、作り方によっては日本のバター醤油ご飯の要領でバターの代わりにラードを入れて作ることがある。
なお、動物性油脂の中では酸化しやすく風味を失いやすいため低温で保存することが必要である[3][注 2]。
食用以外の用途
| この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "ラード" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2014年12月) |
単独もしくは他の油脂類と混合する形で古くから潤滑用途に用いられてきた。単独(または牛脂との混合)ではグリスのような用途に、鉱油などの潤滑油に混合することで減摩剤などとして利用された[8]。それらの多くは鉱油やその他の化学合成品に置き換わっていったが、ラードを硫化し極圧性や安定性、溶解性などを改善した「硫化ラード」はその特性から切削油や加工油として一時期多用された。現在においても硫化ラードは一部で使用されている。
脚注
注釈
- ^ 精製したものではなく、脂身を加熱して柔らかくしたもので、ザルなどの上で振りかけることで網目にそって細かく分断され粒状になる。
- ^ ただし、冷蔵保存すると固まって使用しにくくなるため冷暗所であれば室温でよい。
出典
関連文献
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
ラードに関連するカテゴリがあります。
ウィキメディア・コモンズには、
背脂に関連するカテゴリがあります。