『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO』(マシンセンタイキラメイジャー エピソードゼロ)は、2020年2月8日より東映系で公開された、日本の映画作品[1]。
同時上映は『劇場版 騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー』。
キャッチコピーは「スーパー戦隊MOVIEパーティーがはじまるぞ![2]」「テレビスタートまで待てない! キラメイジャー誕生を映画で目撃せよ![2]」。
概要
『魔進戦隊キラメイジャー』テレビシリーズの本放送開始に先駆けて公開された劇場作品で、スーパー戦隊シリーズ映画『スーパー戦隊MOVIEパーティー』の一篇でもある。テレビシリーズ第1話に繋がる前日譚として位置づけられており、発端となるクリスタリアの滅亡と、レッドを除く4人の戦士の誕生経緯が描かれる。ラストシーンでは、先行販売特典の『赤いスポーツカー魔進』がイメージ映像として登場する[3]。
ムビチケ前売券購入特典として動画配信サービス『MIRAIL(ミレール)』で視聴できる『魔進戦隊キラメイジャー スペシャル映像』を配信[2]。2020年2月29日より東映特撮ファンクラブで映画本編を会員限定最速配信[4]。
新型コロナウイルス感染拡大によるテレビシリーズの撮影延滞に伴い、2020年5月17日[注釈 2]にテレビシリーズの第10話の翌週以降の代替放送として本作品がテレビ初放送された[5]。後出の山口は、本作品が放送されたことはテレビシリーズをより深く理解するためプラスになったと述べている[6]。
制作
本作品の監督である山口恭平は、テレビシリーズ第1・2話も含めたパイロット監督も務めており[7][6]、撮影も両話数とほぼ同時に進行したが、仕上げの都合から本作品が先行している[出典 1]。
ストーリーは、充瑠以外の4人が仲間になるくだりなど、元々テレビシリーズ第1話の内容として予定されていたが、尺の都合で収まりきらなかったため、入り切らずにカットが検討されていたものを、映画化に際し本作品に転用している[10][11]。荒川のアイデアをベースに大まかな流れを作り、充瑠以外のメンバーを中心にストーリーを組み直している[12]。最初の顔見せのため、リーダー感の為朝やデキる医者の小夜、足が速い瀬奈など一目で分かるキャラクターの方向性を打ち出している[12]。本作品がなかった場合、作中におけるクリスタリアのシーンは後の話数で回想として描かれる予定であった[10]。山口は、自身がテレビシリーズに参加した段階で本作品の制作は決まっていなかったことを証言している[6]。従来のスーパー戦隊の多くは、第1話で早く形を完成させるため、第1話の時点で主人公のレッド以外のメンバーが既に揃っており、そこにレッドが加わることでチームが完成する流れだったが、前日譚の劇場版でレッド以外の4人をスカウトしてレッドに先行してキラメイジャーになるものとなったため、戦士になる前から演じられたことがよかったといい、充瑠においても本作品では変身はしていないが、小宮自体が初めて本格的な芝居をするため、最初に等身大の小宮に近い高校生の役を演じていたのはむしろ良かったという[7][13]。ただし、映画を観ない人はいるため、本作品を観なくても第1話は分かるものとなっている[13]。ちなみに、レッド以外の4人をスカウトするシーンは、『ジャッカー電撃隊』の第1話のオマージュとなっている[13]。『キラメイジャー』は異文化との遭遇を描いているため、本作品ではマブシーナとオラディン、ガルザなどクリスタリアのシーンを多めに描いている[13]。
ヨドン軍は本来は第1話で襲来するため存在しないが、アクションシーンを作るために、今時の設定としてMRでベチャットを再現させるものとなった[12]。
ストーリー
オラディンが王として治めていた美しき宝石の国クリスタリア。だが、オラディンの弟であるガルザの手引きによって作戦参謀クランチュラ率いる闇の軍団ヨドンヘイムが侵攻し王は討たれ国は滅亡してしまう。1人生き残ったクリスタリアの姫マブシーナはクリスタリアの秘宝キラメイストーンたちと共に、オラディンの友人でもあった博多南無鈴を頼り次にヨドン軍が侵攻するであろう地球へと向かった。CARATのスーパーバイザーであった博多南はヨドン軍の地球襲来に備えキラメイジャーの変身アイテムキラメイチェンジャーを開発、マブシーナは迷いつつもキラメイストーンと共鳴し、輝く精神の源である強いキラメンタルを持つ戦士たちを探し始める[14]。
シューティング部門で賞金ランキング1位に君臨するeスポーツ界のスター射水為朝、陸上競技会でその名を轟かせている日本記録を持つ陸上選手の速見瀬奈、剣道五段の腕前で人気アクションスターの押切時雨、合気道の達人で美人過ぎる女医として知られる天才外科医の大治小夜。キラメイストーンの導きと共に彼らをスカウトするマブシーナではあったが自身の不安と一見争いとは無縁の彼らを戦いに巻き込むことに悩む。だが初戦にもかかわらずキラメイジャー4人のその戦いぶりに勇気をもらったのであった。レッドキラメイストーンは凄まじいキラメンタルの気配を感じたものの、未だに相棒を見つけられずにいた。一方、光ヶ峰高等学校の生徒の熱田充瑠は、クラスメイトの柿原瑞希に似顔絵を頼まれるのであったが[15]。
登場人物
- 柿原 瑞希()
- 充瑠のクラスメイト。絵ばかりを描く充瑠を小馬鹿にした態度をとり、からかいで自分の絵を描くように頼むが[16]、充瑠の描いた自分の絵を見て激怒した。
- テレビシリーズにも、エピソード20・42・44・FINALに登場。裏表の激しい性格で、表の顔は優等生ぶっているが、裏の顔は高圧的でズル賢いのが魅力(充瑠曰くズルくてパワフル=ズルパワフルさ[15])。ゲーマーの兄・章介[注釈 3]が為朝のファン。セッチャクザイ邪面の騒動からキラメイジャーたちの正体と充瑠の純粋さを知り、自分のズルパワフルさが魅力であることを受け入れてからは優等生ぶることと心を開いた充瑠を小馬鹿にすることを止めることにした[16][15]。また、セッチャクザイ邪面の接着剤効果がなくなってもくっついていたふりをして充瑠の手を握ったままでいたため[15]、他のキラメイジャーたち(色恋に疎い瀬奈を除く)からは「アオハル」と称された。エピソード42では充瑠を遊園地デートに誘うが、その直後にガルザによって汚染された空気から充瑠をかばったため、空気を吸ってベチャット化し[16]、街を彷徨うようになるが、ヨドン皇帝が倒されたことで元に戻る。本作品やエピソード42までは充瑠のことを「熱田」と呼んでいたが、エピソードFINALでは「充瑠」と呼んでいた。
- テレビシリーズ終了後に製作されたスピンオフ作品『ヨドンナ』・『ヨドンナ2』では物語の中心人物として登場する[18]。
- 演者の西葉瑞希と下の名前が一緒であり、公式サイトではオーディションの際にスタッフが彼女と会った時にそのイメージを盛り込んでキャラを作り上げたためと記述されている[19]。
- 無我夢中で絵を描いているため、学校生活で少し浮いており、キラキラしていることに気づけず、キラキラしていない充瑠の性格と様子を表現するために作られ、意地悪な絡み方をするが[注釈 4]、充瑠はあまり気にしていないため、そのキャラを引き立たせるものとなった[12][20]。第42話では次回で充瑠が一度死ぬことが決まっていたため、そのフラグとして彼が大好きな柿原を登場させている[20]。
- プロデューサーの塚田は、『魔法戦隊マジレンジャー』の山崎さんのようなポジションをイメージしており、脚本も緊急事態宣言発令以前に進んでいたため、早めに再登場させる予定だったが、当時と違い、やることが多かったためになかなか出せず、ペースが早かったことからエピソード20での登場となった[22]。同話数は充瑠の学園の話を描くため、柿原を再登場させるものとなったが、本作品を観ていないと初めて観る人が多いという想定だったが、同話数の構想中に緊急事態宣言が出た影響によってテレビで本作品を放送することになったため、柿原を知っている前提で話を作り直すこととなった[12]。
- 西葉は『キラメイジャー』のオーディションにも参加しており、5人には選ばれなかったものの、彼女の芝居の上手さから、2次の段階で主人公のガールフレンドのような位置付けで依頼する予定であった[22][23]。
キャスト
声の出演
スーツアクター
一部出典はジャパンアクションエンタープライズ出演情報より[26]。
ノンクレジット
スタッフ
スペシャルエンディング
エンディングでは3Dの『スター☆トゥインクルプリキュア』と共演、ダンスでは4大戦隊とプリキュア3作品がケボーンダンスを踊る。TTFC最速バージョンでは収録されず、およびテレビ放送の際にもカットされている。
- エンディング曲
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- 「教えて...!トゥインクル☆」
- 作詞・作曲 - MUTEKI DEAD SNAKE / 編曲 - 生田真心 / 歌 - 吉武千颯
- 「ケボーン!リュウソウジャー」
- 作詩 - KOCHO / 作曲 - 奥井康介 / 編曲 - 中塚武 / 歌 - Sister MAYO
- キャスト
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- ダンス出演
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- スタッフ
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ネット動画
『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO ヒーローインタビュー』は、東映特撮ファンクラブ限定配信の動画。キラメイジャーにスカウトされた時の様子を語るインタビューという形式で構成されており、台本なしでインタビューに答えるという形で、各エピソードに1カットを映画とは異なるカットで撮影されている。監督は山口恭平[39]。
- Vol.1 速見瀬奈編 2020年2月08日配信
- Vol.2 押切時雨編 2月15日配信
- Vol.3 射水為朝編 2月22日配信
- Vol.4 大治小夜編 2月29日配信
映像ソフト化
2020年6月24日発売。Blu-ray / DVDでリリース。2作セットのスペシャル版のみ東映特撮ファンクラブ有料会員受注特典(2020年5月8日まで)として、本作品のメイキングDVDを同梱[40]。
- 魔進戦隊キラメイジャーエピソードZERO DVD通常版(1枚組)
- スーパー戦隊MOVIEパーティー VS&エピソードZERO DVDスペシャル版(3枚組)
- ディスク1:『劇場版 騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー』本編DVD
- ディスク2:『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO』本編DVD
- ディスク3:特典DVD
- 『劇場版 騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー』メイキング
- 完成披露イベント
- 初日舞台挨拶
- ノンスーパーED
- PR集
- リュウソウデータファイル
- ポスタービジュアル
- 初回限定特典
- スーパー戦隊MOVIEパーティー VS&エピソードZERO Blu-rayスペシャル版(3枚組)
- ディスク1:『劇場版 騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー』&『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO』本編Blu-ray
- 映像特典
- 『劇場版 騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー』メイキング
- 完成披露イベント
- 初日舞台挨拶
- ノンスーパーED
- PR集
- リュウソウデータファイル
- ポスタービジュアル
- 音声特典
- 『劇場版 騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー』オーディオコメンタリー(一ノ瀬颯×綱啓永×尾碕真花×小原唯和×岸田タツヤ×兵頭功海)
- ディスク2:『劇場版 騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー』本編DVD
- ディスク3:『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO』本編DVD
- 初回限定特典
備考
脚注
注釈
- ^ ノンクレジット
- ^ テレビ朝日系列 9時30分 - 10時
- ^ 名前は後述のスピンオフ作品『ヨドンナ』にて判明。同時に職業が刑事であることも判明[17]。
- ^ 充瑠が絵を描くこと自体は馬鹿にしておらず、人が何をやってもいいが、自分の知らないことをしていると気になってちょっかいを出すものとなり、それに加えて充瑠が話を聞かないため、さらに気になるという展開となった[12]。
- ^ スペシャルエンディングにもキラメイレッドの声で出演(ノンクレジット)。
出典
- ^ 魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO 初のテレビシリーズ開始前の劇場版“始まりの物語”毎日新聞 2020年2月7日
- ^ a b c 公式ウェブサイト
- ^ “「魔進合体 DXキラメイジンセット」&「赤いスポーツカー魔進」先行抽選販売決定!”. 東映 (2020年1月31日). 2020年1月31日閲覧。
- ^ “映画『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO』がTTFC最速バージョンで早くも見放題配信決定!”. 東映 (2020年2月8日). 2020年2月8日閲覧。
- ^ Inc, Natasha. “「ゼロワン」「キラメイジャー」新作エピソード放送延期に、特別編や劇場版をOA”. 映画ナタリー. 2020年5月10日閲覧。
- ^ a b c d 宇宙船169 2020, pp. 52–53, 「[インタビュー]山口恭平」
- ^ a b パンフレット 2020, 「インタビュー 監督 山口恭平」
- ^ 東映HM61 2020, pp. 31–32, 取材・構成 トヨタトモヒサ「KIRAMAGER MAIN STAFF INTERVIEW_02 山口恭平」
- ^ 魔進読本 2021, p. 51, 「KIRAMAGER MAIN DIRECTOR INTERVIEW 山口恭平」
- ^ a b 東映HM61 2020, pp. 28–30, 取材・構成 トヨタトモヒサ「KIRAMAGER MAIN STAFF INTERVIEW_01 荒川稔久×塚田英明」
- ^ 魔進読本 2021, pp. 47–48, 「KIRAMAGER MAIN WRITER INTERVIEW 荒川稔久」
- ^ a b c d e f 東映HMS 2021, pp. 108–111, 「KIRAMAGER FEMALE WRITER INTERVIEW 01 下亜友美」
- ^ a b c d 東映HM62 2020, pp. 75–77, 「KIRAMAGER PRODUCER INTERVIEW 塚田英明[プロデューサー]」
- ^ 魔進超全集 2021, p. 62, 「エピソードZERO~FINAL」
- ^ a b c d 魔進超全集 2021, p. 76, 「エピソードZERO~FINAL」
- ^ a b c 魔進超全集 2021, p. 15, 「熱田充瑠/キラメイレッド/魔進ファイヤ」
- ^ “桃月なしこ主演『ヨドンナ』監督は坂本浩一氏 復活狙うヨドンナ様が柿原さんとつながる【あらすじ公開】”. ORICON NEWS (株式会社oricon ME). (2021年6月13日). https://www.oricon.co.jp/news/2196595/full/ 2022年2月27日閲覧。
- ^ “『キラメイジャー』スピンオフ『ヨドンナ2』意味深なラストに「為朝には頑張ってもらわないと……」豪華キャスト陣が登壇した上映会レポート”. 電撃ホビーウェブ (株式会社KADOKAWA). (2021年9月4日). https://hobby.dengeki.com/event/1340872/ 2022年2月12日閲覧。
- ^ a b c d “「魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO」劇場版・現場レポート”. 東映 (2020年2月8日). 2020年2月8日閲覧。
- ^ a b 魔進読本 2021, p. 63, 「KIRAMAGER DIRECTOR/WRITER Q&A」
- ^ a b 魔進読本 2021, p. 45, 「KIRAMAGER PRODUCER INTERVIEW 塚田英明」
- ^ 魔進超全集 2021, p. 133, 「インタビュー」
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak パンフレット 2020
- ^ a b c d e f “ジャパンアクションエンタープライズ|出演情報|魔進戦隊キラメイジャーエピソードZERO”. ジャパンアクションエンタープライズ (2020年1月20日). 2020年2月19日閲覧。
- ^ “伊藤茂騎 タレントプロフィール”. ジャパンアクションエンタープライズ. 2021年6月23日閲覧。
- ^ 最・高・相・棒! 2021, p. 27, 「MAIN CAST & SUIT ACTOR CROSS TALK SIDE:YELLOW YELLOW対談 木原瑠生×蔦宗正人」.
- ^ “五味涼子 タレントプロフィール”. ジャパンアクションエンタープライズ. 2021年6月23日閲覧。
- ^ 最・高・相・棒! 2021, p. 39, 「MAIN CAST & SUIT ACTOR CROSS TALK SIDE:BLUE BLUE対談 水石亜飛夢×竹内康博」.
- ^ 最・高・相・棒! 2021, p. 45, 「MAIN CAST & SUIT ACTOR CROSS TALK SIDE:PINK PINK対談 工藤美桜×下園愛弓」.
- ^ “映画「魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO」連動企画!“ヒーローインタビュー”を2月8日(土)正午より東映特撮ファンクラブ(TTFC)にて配信開始!”. 東映 (2020年2月6日). 2020年2月6日閲覧。
- ^ “ここでしか見られない!『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO』メイキングDVDの特典付き!! 『スーパー戦隊MOVIEパーティー VS&エピソードZEROスペシャル版』Blu-ray&DVDをTTFCで予約受付開始!”. 東映 (2020年3月16日). 2020年3月16日閲覧。
出典(リンク)
参考文献
外部リンク
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