JASRAC賞(ジャスラックしょう)は、日本音楽著作権協会(JASRAC)が主催する音楽に関する賞。1982年創設。
概要
JASRACに著作権管理を信託している楽曲の中で、前年度の著作権使用料分配額が多い楽曲に対して与えられる。そのため、他の音楽賞の多くが特定の利用形態における人気のみを示すのに対し、
等を総合的に集計した結果が含まれるのが大きな特徴。一方でJASRAC管理下の楽曲のみが対象となるため、NexTone等他の著作権管理事業者に信託されている楽曲は受賞対象に含まれないほか、複数社に支分権の委託を分散させている場合もJASRACの管理分のみが対象となる(なお、NexToneは別途NexTone Awardを主催している)。
そのため、他の音楽賞と比較して、過去の受賞曲にはテレビアニメや映画のBGM(劇伴、サウンドトラック)、CMソングに使用された楽曲等が多い傾向がある。特に国際賞・外国作品賞にその傾向が顕著で、国際賞は1988年の創設以後受賞曲が全てBGM曲となっているほか、外国作品賞ではマツダのCMソングに起用された[1]「ZOOM ZOOM ZOOM」[注 1] が2003年度から2008年度にかけて6連覇を達成している。
国内使用・金賞の受賞曲は、1980年代においてはカラオケでの使用料の多い演歌[2][3][4] が大部分を占めた。1982年の創設から1990年(1989年度)まで、演歌以外の作品が受賞したのは1987年(1986年度)の「恋におちて」のみである[5]。
部門
賞はいくつかの部門賞に分かれており、2008年現在は以下の賞で構成されている。なお表彰対象となるのは、原則として当該楽曲の作詞者・作曲者・音楽出版者の3者。
- 金・銀・銅賞
- 当該年度の著作権使用料分配額で1-3位に入った国内作品の楽曲にそれぞれ与えられる。この賞のみ「受賞曲の普及に尽くした」との理由でレコード会社も表彰対象となる。金賞受賞者には「飛天」の像が贈られる。
- 国際賞
- 外国からの入金による分配額が最も多かった国内作品に与えられる。
- 外国作品賞
- 著作権使用料分配額が最も多かった外国作品に与えられる。
- 歴代の受賞作品には、外国人の作曲作品に日本人が歌詞をつけた作品(Rising Sunなど)や、外国の音楽出版者が権利を保有する日本人の作曲作品(HIKARI)が含まれる。
歴史
- 1982年 創設。当初は「国内使用」「外国使用」の2部門制。
- 1984年は開催されなかった。
- 1988年 現在の「金・銀・銅賞」「国際賞」「外国作品賞」の部門賞制に移行する。
受賞曲
()内は対象となった年度。
1980年代
- 1982年
- 1983年(1982年7月〜1983年6月[2])
- 1985年(1984年度)
- 1986年(1985年度)
- 1987年(1986年度)
- 1988年(1987年度)
- 1989年(1988年度)
- 金賞 命くれない(作詞:吉岡治、作曲:北原じゅん)
- 銀賞 乾杯(作詞・作曲:長渕剛)
- 銅賞 無錫旅情(作詞・作曲:中山大三郎)
- 国際賞 UFOロボ グレンダイザー BGM(作曲:菊池俊輔)
- 外国作品賞 SHOW ME(作詞:A.CABRERA / B.KHOZOURI / A.MORAN / A.TRIPOLI / 森浩美、作曲:A.CABRERA / B.KHOZOURI / A.MORAN / A.TRIPOLI)
1990年代
- 1990年(1989年度)
- 1991年(1990年度)
- 1992年(1991年度)
- 1993年(1992年度)
- 1994年(1993年度)
- 1995年(1994年度)
- 1996年(1995年度)
- 1997年(1996年度)
- 1998年(1997年度)
- 1999年(1998年度)
2000年代
- 2000年(1999年度)
- 2001年(2000年度)
- 2002年(2001年度)
- 2003年(2002年度)
- 金賞 千と千尋の神隠し BGM(作曲:久石譲)
- 銀賞 traveling(作詞・作曲:宇多田ヒカル)
- 銅賞 亜麻色の髪の乙女(作詞:橋本淳、作曲:すぎやまこういち)
- 国際賞 ポケットモンスター BGM(作曲:宮崎慎二)
- 外国作品賞 HIKARI(作詞・作曲:宇多田ヒカル)
- 2004年(2003年度)
- 2005年(2004年度)
- 金賞 世界に一つだけの花(作詞・作曲:槇原敬之)
- 銀賞 涙そうそう(作詞:森山良子、作曲:BEGIN)
- 銅賞 機動戦士ガンダムSEED BGM(作曲:佐橋俊彦)
- 国際賞 ポケットモンスター BGM(作曲:宮崎慎二)
- 外国作品賞 ZOOM ZOOM ZOOM(作詞・作曲:JOAO CARLOS ROSMAN)
- 2006年(2005年度)
- 金賞 花(作詞・作曲:ORANGE RANGE)
- 銀賞 さくら(作詞・作曲:吉田大蔵 / 田中亮 / 河野健太 / 大塚亮二)
- 銅賞 世界に一つだけの花(作詞・作曲:槇原敬之)
- 国際賞 ポケットモンスター BGM(作曲:宮崎慎二)
- 外国作品賞 ZOOM ZOOM ZOOM(作詞・作曲:JOAO CARLOS ROSMAN)
- 2007年(2006年度)
- 2008年(2007年度)
- 2009年(2008年度)
2010年代
- 2010年(2009年度)
- 2011年(2010年度)
- 2012年(2011年度)
- JASRAC賞30回記念特別表彰(1982年度〜2011年度)
- 金賞 世界に一つだけの花(作詞・作曲:槇原敬之)
- 銀賞 居酒屋(作詞:阿久悠、作曲:大野克夫)
- 銅賞 ふたりの大阪(作詞:吉岡治、作曲:市川昭介)
- 2013年(2012年度)
- 2014年(2013年度)
- 金賞 女々しくて(作詞・作曲:鬼龍院翔)
- 銀賞 ヘビーローテーション(作詞:秋元康、作曲:山崎燿)
- 銅賞 Time goes by(作詞・作曲:五十嵐充)
- 国際賞 NARUTO -ナルト- 疾風伝 BGM(作曲:高梨康治)
- 外国作品賞 ヘイ・ジュード(作詞・作曲:レノン=マッカートニー)
- 2015年(2014年度)
- 2016年(2015年度)
- 金賞 R.Y.U.S.E.I.(作詞:STY、作曲:STY・Maozon)
- 銀賞 恋するフォーチュンクッキー(作詞:秋元康、作曲:伊藤心太郎)
- 銅賞 糸(作詞・作曲:中島みゆき)
- 国際賞 キテレツ大百科 BGM(作曲:菊池俊輔)
- 外国作品賞 "LET IT GO" from the DISNEY film "FROZEN"(作詞・作曲:クリステン・アンダーソン=ロペス、ロバート・ロペス)
- 2017年(2016年度)
- 金賞 糸(作詞・作曲:中島みゆき)
- 銀賞 名探偵コナン BGM(作曲:大野克夫)
- 銅賞 ドラゴンクエスト序曲(作曲:すぎやまこういち)
- 国際賞 FAIRY TAIL BGM(作曲:高梨康治)
- 外国作品賞 DAYDREAM BELIEVER(作詞・作曲:ジョン・スチュワート)
- 2018年(2017年度)
- 金賞 恋(作詞・作曲:星野源)
- 銀賞 ドラゴンクエスト序曲(作曲:すぎやまこういち)
- 銅賞 UFO(作詞:阿久悠、作曲:都倉俊一)
- 国際賞 ドラゴンボールZ BGM(作曲:菊池俊輔)
- 外国作品賞 DAYDREAM BELIEVER(作詞・作曲:ジョン・スチュワート)
- 2019年(2018年度)
- 金賞 Hero(作詞・作曲:今井了介)
- 銀賞 UFO(作詞:阿久悠、作曲:都倉俊一)
- 銅賞 糸(作詞・作曲:中島みゆき)
- 国際賞 ドラゴンボールZ BGM(作曲:菊池俊輔)
- 外国作品賞 Y.M.C.A.
2020年代
- 2020年(2019年度)
- 金賞 Lemon(作詞・作曲:米津玄師)
- 銀賞 ドラゴンクエスト序曲(作曲:すぎやまこういち)
- 銅賞 糸(作詞・作曲:中島みゆき)
- 国際賞 NARUTO -ナルト- 疾風伝 BGM(作曲:高梨康治)
- 外国作品賞 U.S.A.(作詞:DONATELLA CIRELLI・SEVERINO LOMBARDONI、作曲:DONATELLA CIRELLI・CLAUDIO ACCATINO・ANNA MARIA GIOCO)
- 2021年(2020年度)
- 2022年(2021年度)
- 金賞 紅蓮華(作詞:LiSA、作曲:草野華余子)
- 銀賞 炎(作詞:梶浦由記・LiSA、作曲:梶浦由記)
- 銅賞 ドライフラワー(作詞・作曲:優里)
- 国際賞 NARUTO -ナルト- 疾風伝 BGM(作曲:高梨康治)
- 外国作品賞 Dynamite(作詞・作曲:JESSICA AGOMBAR・DAVID STEWART)
- 2023年(2022年度)
- 金賞 ドライフラワー(作詞・作曲:優里)
- 銀賞 夜に駆ける(作詞・作曲:Ayase)
- 銅賞 残響散歌(作詞:aimerrhythm、作曲:飛内将大)
- 国際賞 NARUTO -ナルト- 疾風伝 BGM(作曲:高梨康治)
- 外国作品賞 Butter(作詞・作曲:JENNA ANDREWS・ROB GRIMALDI・STEPHEN KIRK・RM・ALEX BILOWITZ・SEBASTIAN GARCIA・RON PERRY)
- 2024年(2023年度)
JASRAC音楽文化賞
JASRAC音楽文化賞(ジャスラック おんがくぶんかしょう)は、売り上げなどの数字には表れない地道な音楽活動をたたえて顕彰する目的で、JASRAC創設75周年を記念して2014年に創設[6]。
- 第1回(2014年)
- 第2回(2015年)
- 第3回(2016年)
- 第4回(2017年)
- 第5回(2018年)
- 第6回(2019年)
- 第7回(2020年)
- 第8回(2021年)[13]
- 第9回(2022年)[14]
- 第10回(2023年)[15]
脚注
注釈
出典
関連項目
外部リンク
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2020年代 | |
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1982年から1987年は「国内使用」部門、1988年以降は「金賞」として発表。
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