多田野 曜平(ただの ようへい、1962年3月10日[3][5] - )は、日本の俳優、声優。福岡県北九州市出身。テアトル・エコー所属[4]。
経歴
小学生の頃から漠然と「俳優になりたい」と思っていたという[6]。高校卒業後、日活芸術学院の監督コースへ在籍した時期がある[6]。
1981年、琉球大学在学中に小劇場・沖縄ジァンジァンの演劇実験室「観客席」へ入団。大学卒業後はトヨタへ就職しセールスマンをしていたが、後にリンガーハットに転職して上京。だが、約半年後に俳優への道を諦められず仕事を辞め、しばらくはいくつかの劇団を渡り歩いた[6]。
1988年、友人の勧めもありテアトル・エコー附属養成所へ入所[6]。1990年4月からはテアトル・エコーへ研究生として所属し1994年4月に準劇団員昇格、2000年4月に劇団員に昇格した。
声優としては、1993年に『聖者の眠る街』の吹き替えでデビュー。しばらくは吹き替えでの活動が主だったが、2006年に出演の『姫様ご用心』以降はアニメにも多く出演している。
2019年2月27日からは、北九州市観光大使を務めている[7]。
人物・エピソード
幅広い役柄をこなす。本人曰く「チビ、ハゲ、小動物、エイリアン」の役を演じる機会が多いとのこと[8]。ディズニー作品への出演も多い。
所属する劇団テアトル・エコーの先輩である二見忠男に顔が似ている。同劇団の入団試験もそれが理由で合格しており[9]、舞台で古い芝居をする際は二見の役を継承している[10]。声質については、同じく劇団の先輩である山田康雄と似ている部分があり、吹き替えで山田の代役や後任を行うことが多い(下記)。
『スター・ウォーズ 反乱者たち』以降、死去した永井一郎の後任としてヨーダ役を担当しており、『キングダム ハーツIII』では肝付兼太に代わってジミニー・クリケット役を担当している。また『荒鷲の要塞』吹替版では青野武の代役も担当している[11][12]。
最初は声優になるつもりはなかったが、テアトル・エコーが声優活動を行う人物が多数いたことで始めるようになった。また、入団時の新人紹介では「この人たちの声、みんな聞いたことある!」と、子供の頃からテレビで知っている声の人物が大勢いたため感激したという[6][9]。
好きな言葉は「謙虚につつましく」[9]。
山田康雄とクリント・イーストウッド
2009年、『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』の2作品においてDVDに過去のテレビ版吹き替えが収録されることとなり、当時カットされた部分の追加収録を行うこととなったが、クリント・イーストウッドの専属声優であった山田康雄が逝去していたため、多田野が代役として追加収録を担当することとなった[13]。多田野が選ばれた理由は、アニメ『姫様ご用心』で多田野が演じたレスリーの声を聞いた20世紀フォックス(発売元)の担当者が「山田に雰囲気が似ている」と評したためだったという[13]。
追加収録の際、多田野は昔からイーストウッドが好きで、彼の主演作をいつも見ていたことを明かし、イーストウッドの声を演じるのは夢であり「心底うれしい。演じたくてしょうがなかった」と公言している。また、吹替えるにあたり、「イーストウッドを演じることは、山田さんを演じるということ。山田さんが持っている雰囲気をどうやって出すか、近づけるか…」ということを考え、彼の声を持っている色気やガンマンという設定に気をつけて演じるため、『夕陽のガンマン』を朝から晩まで見ていた[13]。一方で弊害もあったといい、本番を数日後に控えた舞台稽古で、「演技が山田さんの真似のようになってしまい、共演者からのダメ出しが凄かった」と語っている[13]。
上記の追加収録以降、山田の代役や後任を多田野が担当する機会が多い。当初は『イージー・ライダー』や『ダーティ・ハリーシリーズ』など追加収録の代役として担当することが多かったが、2012年には『モンティ・パイソン ある嘘つきの物語 グレアム・チャップマン自伝』で、山田の持ち役であったグレアム・チャップマンの吹き替えを引き継いだ。そして、2017年に『白い肌の異常な夜』新録吹替版で初めてイーストウッドの全編吹き替えを担当し、2018年公開の『運び屋』では新作初のイーストウッド全編吹き替えを担当した。
劇団の先輩にあたる山田だが、多田野が劇団の研究生になった1990年時点では既に舞台に立っておらず、共演はなかった。ただし、年に一度全劇団員が揃う「総会」では山田と会っており、「一人で強烈な印象があった」と語っている。また「これでみんなで飲んでくれ」と札束で飲み代を進呈するなど「豪気な人だった」とも語っている[13]。
追加収録など代役として演じることについては辛さを語る[14]一方、同じ劇団所属の後輩として「舞台じゃなくて、声の世界でも、大先輩の作りあげてきた芸があるんです。それは口では言えないが形にならない芸なんです」と、山田をはじめ同じテアトル・エコー所属の先輩の代役は他の劇団や事務所に所属する役者にとられたくないことを明かしており「クリント・イーストウッドだけは何とか死守しようと思っている(笑)。」と語ったことがある[9]。
イーストウッドの吹き替えに関して、多田野はあくまでも「100%山田さんリスペクトで演じています」と語り「活き活きしている頃のイーストウッドよりも、(『運び屋』での)年齢を重ねたイーストウッドの方がやりやすかったです」と話している[14]。
出演
太字はメインキャラクター。
テレビアニメ
- 1996年
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- 2004年
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- 2006年
-
- 2007年
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- 2008年
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- 2009年
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- 2010年
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- 2011年
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- 2012年
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- 2013年
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- 2014年
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- 2015年
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- 2016年
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- 2017年
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- 2018年
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- 2019年
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- 2020年
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- 2021年
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- 2022年
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- 2023年
-
劇場アニメ
OVA
Webアニメ
ゲーム
- 2007年
-
- 2008年
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- 2009年
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- 2010年
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- 2011年
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- 2012年
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- 2013年
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- 2014年
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- ウルトラストリートファイターIV(元[38])
- パペッティア(インヤン、爺杉、ミスターピンク、ドッグ、オウム、執事ロボ、かかし 他)
- 2015年
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- 2016年
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- 2017年
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- 2018年
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- 2019年
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- 2020年
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- 2021年
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- 2022年
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- 2023年
-
ドラマCD
ラジオドラマ
吹き替え
担当俳優
- アーシフ・マンドヴィ
-
- アラン・カミング
-
- アラン・テュディック
-
- ウィリー・ガーソン
-
- ウィレム・デフォー
-
- ウディ・ハレルソン
-
- クリント・イーストウッド
-
- スティーヴ・ブシェミ
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- タレク・ブダリ(フランス語版)
-
- ティム・ブレイク・ネルソン
-
- ラファエル・スバージ
-
映画(吹き替え)
× リーサル・ウェポン3 ※WOWOW追加録音版
ドラマ
アニメ
テレビドラマ
特撮
教育・情報番組
映画
舞台
- 九島亮「RANDOM」(1986年スペース・DEN)
- 大橋秀樹「パッセンジャー」(1987年池袋アート・スポット・フリーク)
- 大橋秀樹「情熱の花」(1987年スタジオ赤坂プレイBOX)
- スラップスティック バンガード システムVOL7(1988年スタジオ赤坂プレイBOX)
- T・ワイルダー「楽しき旅路」(1988年テアトル・エコー付属養成所)
- 太宰治「カチカチ山」(1989年テアトル・エコー付属養成所)
- 菊池寛「父帰る」(1989年テアトル・エコー付属養成所)
- チェーホフ「家庭争議」(1989年テアトル・エコー付属養成所)
- N・サイモン「名医先生」(1990年テアトル・エコー付属養成所)
- 川和孝「河童譚」(1990年テアトル・エコー付属養成所)
- ジャン・ベルナール・リュック「恋の冷凍保存」(1990年テアトル・エコー旧劇場)
- 岡本蛍「匿名シネマ」(1991年テアトル・エコー旧劇場)
- 桐生祐狩「ピンクレインの娘」(1991年テアトル・エコー旧劇場)
- N・サイモン「おかしな二人 女性版」(1992年銀座みゆき館劇場)
- 井上ひさし「表裏源内蛙合戦」(1992年テアトル・エコー)
- F・ダンロップ、ジム・デール「スカピーノ」(1992年テアトル・エコー)
- 松田環「ドラキュラ」(1993年テアトル・エコー)
- N・サイモン「映画に出たい!」(1993年銀座小劇場)
- 小川未玲「深く眠ろう死の手前ぐらいまで」(1996年テアトル・エコー)
- 小川未玲「お勝手の姫」(1998年テアトル・エコー)
- N・サイモン「サンシャイン・ボーイズ」(1998年紀伊國屋サザンシアター)
- マルセル・エーメ「他人の首」(1999年テアトル・エコー)
- N・サイモン「23階の笑い」(1999年紀伊國屋サザンシアター)
- 氷室冴子「ざ・ちぇんじ!」(2000年紀伊國屋サザンシアター)
- チェーホフ「くしゃみ」(2002年新国立劇場)
- キノトール「青年がみな死ぬ時」(2002年テアトル・エコー)
- 小川未玲「ちゃんとした道」(2003年テアトル・エコー)
- 野田治彦「屋上桟敷の人々」(2003年テアトル・エコー)
- A・エイクボーン「ドアをあけると…」(2003年紀伊國屋サザンシアター)
- ジョン・マレー、アレン・ボレッツ「ルームサービス」(2008年 地方公演)
- ロベール・トマ「フレディ」(2008年テアトル・エコー)
- ロン・ハッチンソン「風と共に来たる」(2009年テアトル・エコー)
- 井上ひさし「日本人のへそ」(2010年テアトル・エコー)
- ロン・ハッチンソン「風と共に来たる」再演(2011年テアトル・エコー)
- ロン・ハッチンソン「風と共に来たる」(2013年 東北公演)
- ロン・ハッチンソン「風と共に来たる」(2014年 四国・神奈川公演)
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その他コンテンツ
脚注
シリーズ一覧
- ^ 第1期(2008年)、第2期『-Second Age-』(2008年)
- ^ 第1期(2021年)、第2期(2023年)
出典
外部リンク