芸術選奨(げいじゅつせんしょう)は、文化庁[注 1]主催の芸術家の顕彰制度[1]。1950年(昭和25年)度発足。
概要
各年度毎に芸術各分野において優れた業績をあげた人物に対し「芸術選奨文部科学大臣賞」[注 2]、またその業績により新生面を開いた人物に対し「芸術選奨文部科学大臣新人賞」[注 3][注 4] の各賞が贈られる。(芸術選奨新人賞)
1950年(昭和25年)に文化庁芸術祭から分離される形で「芸能選奨」(げいのうせんしょう)として設立され、1956年(昭和31年)に現在の名称に改められた。文化庁による賞としては、他に文化勲章、文化功労者、文化庁メディア芸術祭などがあるが、それらとは別の制度である。
芸術選奨文部科学大臣賞
芸術分野をいくつかの部門に分けて、それらの分野において顕著な活躍を見せた人物に「芸術選奨文部科学大臣賞」が贈呈される。1955年(昭和30年)の第5回(1954年〈昭和29年〉度)までの旧名称は「芸能選奨文部大臣賞」、2000年(平成12年)の第50回(1999年〈平成11年〉度)までの旧名称は「芸術選奨文部大臣賞」。
対象部門
対象部門は時代とともに変遷し、2009年現在、演劇、映画、音楽、舞踊、文学、美術、放送、大衆芸能、芸術振興(2004年から)、評論等、メディア芸術(2008年から。メディアアート、漫画、アニメなど)の11部門が対象となる。また、作品ではなく、人が受賞の対象であり、受賞の年(1月~12月)の優れた業績を対象としている。そのため、受賞理由として挙げられている作品が、必ずしも当人の代表作というわけではない。
表彰
毎年3月中旬に受賞者が発表され、同月下旬に東京都内のホテルにて贈呈式が行われる。受賞者には賞状と賞金30万円が贈られる。2024年度から120万円に引き上げられた[2]。
受賞者
芸能選奨時代
斜体は没後の受賞。年数は受賞年であり、対象年度はその前年。
第1回 (1951年)
第2回 (1952年)
第3回 (1953年)
第4回 (1954年)
第5回 (1955年)
第6回 (1956年)
- 福田恆存 - 『ハムレット』の新訳並びにシェイクスピア劇の新解釈による演出
- 久松静児 - 『警察日記』その他の演出の功績
- 早坂文雄 - 『楊貴妃』その他の日本の映画音楽に貢献
- 島田広 - 創作バレエ『令嬢ジュリー』の脚色・演出・振付
- 椎名麟三 - 『美しい女』その他の作品活動
- 鳥海青児 - 油絵『家並み』、『顔をかくす女』など
- 木村伊兵衛 - 海外に取材した作品展などの写真芸術活動
- 野澤喜左衛門 - 『瓜子姫とあまんじゃく』の作曲および文楽三味線の名手としての業績
- 吉田精一 - 『自然主義の研究』などの評論および『現代文学論体系』の編集などによる日本文学研究への貢献
- 吉田幸三郎 - 古典芸能の保存・育成ならびに能・狂言の創造活動
第7回 (1957年)
- 秋庭太郎 - 『日本新劇史』上・下巻
- 三浦光雄 - 『白夫人と妖恋』、『猫と庄造と二人のおんな』など三十余年にわたる映画撮影活動
- 岡本文弥 - 邦楽新内『風と共に去りぬ』、『耳なし芳一』などの新作発表ならびに多年の活動
- 吾妻徳穂 - 歌舞伎舞踊の芸術性を広く海外に紹介した功績
- 石川淳 - 小説『紫苑物語』
- 福沢一郎 - メキシコ南米を巡り、その総決算たる作品展により画壇に新風を送った功績ならびに美術界に対する多年の貢献
- 吉阪隆正 - ベニス・ビエンナーレ展覧会日本館の建築
- 桐竹紋十郎 - 人形浄瑠璃『瓜子姫とあまんじゃく』、『常盤御前』の演技と多年にわたる文楽三和会における活動
- 臼井吉見 - 著作『近代文学論争』上巻
- 映画『カラコルム』の撮影技術団 - 記録映画芸術の活動振興に貢献
芸術選奨時代
*年数は受賞年であり、対象年度はその前年。
1950年代・1960年代
- 1958年(第8回)
- 1959年(第9回)
- 1960年(第10回)
- 1961年(第11回)
- 1962年(第12回)
- 1963年(第13回)
- 1964年(第14回)
- 1965年(第15回)
- 1966年(第16回)
- 1967年(第17回)
- 1968年(第18回)
- 1969年(第19回)
1970年代
- 1970年(第20回)
- 1971年(第21回)
- 1972年(第22回)
- 1973年(第23回)
- 1974年(第24回)
- 1975年(第25回)
- 1976年(第26回)
- 1977年(第27回)
- 1978年(第28回)
- 1979年(第29回)
1980年代
- 1980年(第30回)
- 1981年(第31回)
- 1982年(第32回)
- 1983年(第33回)
- 1984年(第34回)
- 1985年(第35回)
- 1986年(第36回)
- 1987年(第37回)
- 1988年(第38回)
- 1989年(第39回)
1990年代
- 1990年(第40回)
- 1991年(第41回)
- 1992年(第42回)
- 1993年(第43回)
- 1994年(第44回)
- 1995年(第45回)
- 1996年(第46回)
- 1997年(第47回)
- 1998年(第48回)
- 1999年(第49回)
2000年代
- 2000年(第50回)
- 2001年(第51回)
- 2002年(第52回)
- 2003年(第53回)
- 2004年(第54回)
- 2005年(第55回)
- 2006年(第56回)
- 2007年(第57回)
- 2008年(第58回)
- 2009年(第59回)
2010年代
- 2010年(第60回)
- 2011年(第61回)
- 2012年(第62回)
- 2013年(第63回)
- 2014年(第64回)
- 2015年(第65回)
- 2016年(第66回)
- 2017年(第67回)
- 2018年(第68回)
- 2019年(第69回)
2020年代
- 2020年(第70回)
- 2021年(第71回)
- 2022年(第72回)
- 2023年(第73回)
- 2024年(第74回)
芸術選奨文部科学大臣新人賞
事件・批判
- 2006年に受賞者の和田義彦の作品がイタリアの画家アルベルト・スギの作品との、作品類似疑惑が発生し、受賞が取り消された。これをうけて、選考・審査の体制が見直されることとなった。[3]
脚注
注釈
出典
関連項目
外部リンク