VAIO株式会社(バイオ、英: VAIO Corporation)は、長野県安曇野市に本社を置き、主にパソコンの製造、販売を手がける電機メーカーである。[5][6]
概要
2014年(平成26年)7月1日に、ソニーが「VAIO」ブランドで展開していたパソコン事業を日本産業パートナーズ (JIP) に譲渡したことに伴い発足[7][8]。本社はVAIOの生産拠点である旧・ソニーイーエムシーエス長野テクノロジーサイトに置かれた[7][8]。
2014年設立当初、販売は、引き続きソニーが携わる形でソニーマーケティングが行っており、VAIO OWNER MADEモデル及び法人モデルはソニーストア(ソニー時代はソニーショップでも取扱っていた)で販売されていたが、2022年5月、ソニーストアでの法人モデルの取り扱いは終了し、個人向けのみとなった。2015年3月6日からは、購入後すぐに持ち帰れる「個人向け標準仕様モデル」が一部機種に設定され、全国の大型家電量販店で販売が開始された[9][10]。VAIO株式会社は2015年12月に個人向け直営オンラインストアであるVAIOストア、2016年12月に法人向け直営オンラインストアである、VAIOストアビジネスでの販売を開始した[11][12]。2023年1月現在、法人向けの販売は、VAIO株式会社が直接エンドユーザもしくは大手ディストリビュータ、販売店を通じて販売。[13]
当社の生産分には「VAIO」ロゴの入った青紫色のメッセージカードが封入される。このカードに押されている「安曇野FINISH」(後述)のスタンプは全て手押し[14]。
2017年以降は、企業向け (BtoB) パソコンとEMSが事業の柱となった。社員の多くが元ソニーの技術者という点や、PCの技術者が手が空いた時はすぐEMSや新規事業の立ち上げに回るなどといった意思決定の速さ、および技術者が営業に回っていることから「営業が技術を解る」ことを売りとしている[15]。
2021年、山野正樹が代表に就任以後はEMS事業を終了。企業向け (BtoB) パソコンが事業の柱となり、全体の約4分の3が法人ビジネスとなっている[16][6]。
歴史
事業の売却
『VAIO』は、インターネット黎明期である1996年の発売から17年以上の歴史を刻んできた国産パソコンのブランドであったが、2005年にはソニーのエレクトロニクス部門においてAIBOやCLIEなどに続き収益改善が見込まれない製品群とされていた。
- 2014年2月1日 - 日本経済新聞朝刊1面とNHKニュースで「レノボグループと合弁会社を設立し、パーソナルコンピュータ(VAIO)の海外向け事業を移管し、国内事業についても民族系企業再生ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)から出資を受ける交渉に入った」と報道された。報道を受け、ソニーは同日、交渉は否定するも、事業の再編については検討していると一部容認するコメントを発表した。
- 2014年2月6日 - ソニーは全世界でのパーソナルコンピュータ事業を終息し、生産や企画に携わる拠点(ソニーEMCS長野テック)・従業員を含めた同事業全てをJIPが設立する特別目的会社に譲渡し、2014年夏モデル以降はVAIOブランドを維持した上で新会社が担うことを発表。ソニーは新会社への出資を僅か5%に留め、同事業から実質的に撤退することになった。
ソニーが発売するVAIOは同年2月上旬までに順次発売された2014年春モデルが最終製品となり、ソニーストアでの『VAIOオーナーメイド(CTO方式)モデル』の発売は2014年4月20日に受注終了。カスタマイズ(完成)済みの『VAIOオーナーメイド速配仕様モデル』と家電量販店などで市販される『店頭販売モデル』は在庫が無くなり次第販売終了となる予定である。ソニー発売分のアフターサービスに関してはソニーマーケティングが担当する。
VAIOの設立
- 2014年5月2日 - ソニーがパーソナルコンピュータ事業を承継する新会社について詳細を発表。同年7月1日付けで同事業を譲渡し、VAIO株式会社[17]に移管することを公表。
- 2014年7月1日 - 当社に正式に移管。
- 当面、日本国内向けの製品開発を進める計画で、Windowsを搭載したノートパソコンに製品を絞る。
- 上位モデルは長野県安曇野市にある本社工場での生産を継続。低価格のエントリーモデルはEMS方式で生産するが日本の本社工場での検品を通す「安曇野FINISH(あづみのフィニッシュ)」によって品質を確保する。
- 設立当初、販売戦略は、ソニーの子会社であるソニーマーケティングが当社の販売総代理店を請け負い、ソニー直営店と直販サイト「ソニーストア」を販売の中心とする方針に転換し、家電量販店での販売は一部の機種とオーナーメイド受付のみとする[18]。
- 2024年1月現在の販路:[19][20][21]
- 2015年6月 - 日本産業パートナーズから送り込まれた双日元常務の企業再生専門家大田義実が社長に就任[22][23]。2015年12月に東芝と富士通との3社によるパソコン事業を統合する検討に入ったと報じられ、実現すれば日本シェア首位のパソコン企業が誕生する[24]ところであったが、2016年4月に統合交渉は白紙に戻った[25]。
- 2016年7月 - 初の営業黒字を達成したと発表[26]。
- 2017年6月 - 2017年2期連続の黒字により、黒字定着化が実現したとして、元日本ビクター社長の吉田秀俊に社長が交代した[27][28]。
- 2019年8月27日 - 日本産業パートナーズ(JIP)出身の山本知弘を代表取締役に迎える。
- 2020年3月 - 大阪・名古屋オフィスを開設。設立以来、本社機能に加え、設計から製造・カスタマーサポートまでものづくりの全機能を担う安曇野本社・工場と、商品企画・マーケティング・営業等の部門を設置する東京オフィスの2拠点で事業を展開していたが、東名阪エリアの営業・サポート体制を強化のため、大阪・名古屋オフィスを開設。同年12月に博多オフィスを開設[29][30]。
- 2021年6月1日 - 三菱商事出身の山野正樹を代表取締役に迎える[31]。
- 2023年3月 商品理念・行動理念を制定[32][33]。
- 2023年夏 立川に東京開発センターを設立 PC市場の復調を見据えてPCやソフトウエアを開発するエンジニアの積極採用を推進。
新規事業への参入
- 2020年4月9日 - ドローンによる社会インフラの革新を推進・加速する機体開発、ソリューション提供する子会社、VFR株式会社を2020年3月に設立し、4月9日より営業を開始すると発表[34]。
- 山野正樹が社長就任以後、EMS事業によるロボット、VFRを通じたドローンなどの事業はいったん中止し、本業であるPCに力を注ぐ[6]。
主要商品
VAIO Fit 15E。これまでソニーのロゴが記載されていた画面下部にVAIOのロゴが入っている
商品ブランド
EMS(製造受託サービス)事業
沿革
前史
社業
歴代社長
- 関取高行(2014年7月1日 - 2015年6月8日)[7][8][41]
- 大田義実(2015年6月8日 - 2017年6月15日)[41]
- 吉田秀俊(2017年6月15日 - 2019年8月27日)
- 山本知弘(2019年8月27日 - 2021年6月1日)
- 山野正樹(2021年6月1日 - )
脚注
関連項目
- 後藤禎祐 - デザイナー。当社に引き継がれたVAIOのロゴをソニー時代にデザインした。
外部リンク
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