京元線(キョンウォンせん)は、大韓民国ソウル特別市龍山区にある龍山駅から江原特別自治道鉄原郡にある白馬高地駅を結ぶ韓国鉄道公社(KORAIL)の鉄道路線。国土交通部『鉄道距離表』における正式路線名は京元本線[1]。
元来はソウル特別市龍山区と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)江原道元山市とを結ぶ路線だったが、国家の南北分断に伴い路線も分断されており、北朝鮮側の路線は江原線となっている。
1942年10月改正当時
元々は日本統治時代の朝鮮において、日本海側の港町元山とソウル(当時の呼称は「京城」)の間を結ぶための223.7kmの路線として、1910年に着工。1914年に龍山 - 元山間が全線開業した。しかし、途中で朝鮮半島の脊梁(せきりょう、背骨)に当たる太白山脈を横断する難所があり、福渓 - 高山間には25‰(パーミル、1000分の25)の急勾配が設けられたため、建設・運行には様々な苦労があった。なお、途中の鉄原駅からは私鉄路線の金剛山電気鉄道が1924年から分岐するようになり、京元線に直通して京城 - 内金剛間を結ぶ夜行臨時列車が設定されたこともあった。
後には満州(中国東北部)への連絡を図るため敷設された元山 - 会寧間の咸鏡線(617.6km、1928年9月全通)と共に、朝鮮半島から満州へのルートの一つにもなった。そのため軍事輸送も増したことなどから、終戦間近の1944年には急勾配区間の福渓 - 高山間が直流電化(3000V)され、「デロイ型」と呼ばれる電気機関車が投入された。
1945年、第二次世界大戦において日本が敗戦した後、朝鮮半島は北緯38度線を境に南はアメリカ軍、北はソビエト連邦軍に占領され、この影響により同年9月11日に京元線は北緯38度線を境に南北に分断される。但し、当時、漣川郡は38度線より北の北朝鮮側であったため、朝鮮戦争が勃発するまでは東豆川駅が南側の最北端であった。しかし、朝鮮戦争勃発により、南北の占領地域が激しく変わったため、細かい運行地域は不明であるが、韓国側では朝鮮戦争終結後は長らく軍事境界線の手前の新炭里駅(京畿道漣川郡)までの営業となった。
朝鮮民主主義人民共和国側では、平康より北の部分が江原線として存続した。
大韓民国側ではソウル近郊の通勤路線として発展を遂げている。1974年の一部電化複線化開業と同時にソウル特別市地下鉄公社(ソウル交通公社)1号線を介して京釜線・京仁線との直通運転を開始。その後も順次、電化複線化区間は延伸し、現在は龍山 - 漣川間は広域電鉄化され、龍山 - 回基間は8両編成の電車が、回基 - 漣川間は10両編成の電車が頻繁に往復している。
電鉄区間は長らく「1号線」とまとめられてきたが、2005年12月16日の中央線・清凉里 - 徳沼間の広域電鉄開通により、すでに半独立的な運転が行われてきてた龍山 - 回基間は中央電鉄線(現・首都圏電鉄京義・中央線)として分離された。
2006年12月15日、佳陵 - 東豆川の間で急行電車の運転を開始した。この急行電車は佳陵駅からは仁川行きの各駅停車として、京釜線および京仁線に直通運転をしている。
2011年7月28日、集中豪雨により通勤列車区間内の路盤が豪雨により流失したため、同日より東豆川 - 新炭里間の通勤列車が運休となった。2012年3月21日に本数を6往復減便の上運転を再開し、同年7月1日に災害前の通常ダイヤに戻った。
かつて沿線だった鉄原郡では新炭里 - 鉄原駅までの復元開業を長らく要求してきた。実際廃止された区間の復旧再開も京義・東海線とともに検討され、1991年にすでに用地買取や設計などが済まされていたが、地形的理由で見送られてきた。2006年6月になって新炭里 - 鉄原間9.3kmの復活が決定したが、鉄原駅が民間人出入統制区域内に位置しているため、3kmほど南の区域外に白馬高地駅を新設し、同駅までの5.6kmを建設する計画に変更された(同時に、この区間の路線を元の経路より西寄りに移している)。この区間は2007年12月31日に着工し、2012年11月20日に開業した。
2023年12月28日に平和列車(DMZ-train)が9501系気動車の老朽化により廃止。これ以降、非電化区間である漣川 - 白馬高地間は列車運行がなく、事実上の休止路線となっている。
韓国側では以下のように区分されている。ただし、漣川 - 白馬高地間は運休中である。
京釜高速線・湖南高速線・水西平沢高速線
京釜本線・忠北線・長項線・平沢線・平沢三角線・平沢三角線・五松線(短絡線)・大田線(短絡線)・湖南本線・全羅本線・光州線・美田線(短絡線)・北松汀三角線(短絡線)・慶全本線・慶北線・大邱線・伽倻線(短絡線)・釜田線(短絡線)・東海本線・中央本線・中部内陸線・太白本線・旌善線・嶺東本線・京義本線・水色直結線(連絡線)・京元本線・京江本線
● 1号線(京元本線・京釜本線・京仁線・京釜高速本線・餅店基地線・長項線)・● 3号線(一山線)・● 4号線(果川線・安山線)・● 京義・中央線(京義本線・龍山線・京元本線・中央本線)・● 京春線(中央本線・忘憂線・京春線)・● 水仁・盆唐線(京元本線・盆唐線・水仁線)・● 京江線(京江本線)・● 西海線(京義本線・西海線)・● 東海線
南部貨物基地線・芙江貨物線・新洞貨物線・沃溝線・北全州線・和順線・麗川線・光陽製鉄線・光陽港線・大仏線・牛岩線・温山線・長生浦線・蔚山港線・槐東線・三陟線・墨湖港線・北坪線・ソウル郊外線・長城貨物線・梁山貨物線・徳山線・釜山新港線・鎮海線・新光陽港線・江景線・咸白線・蔚山新港線・迎日湾港線・群山港線
木浦宝城線・東海北部線・東海中部線・春川束草線
南部内陸線
慶全本線(馬山線・晋州線・全南線)・東海本線(東海南部線・東海中部線)・嶺東本線(栄岩線・鉄岩線)・太白本線(古汗線・寧越線・黄池支線)
聞慶線
加恩線・金浦線・藍浦線・唐人里線・馬山港第1埠頭線・門峴線・西清州線・水驪線・安城線・玉西三角線・蔚山線・朱仁線・晋三線・新村連結線・長項貨物線・群山貨物線
●京釜本線・●京仁線・●京元本線・●長項線・●京釜高速線・●餅店基地線
●一山線
●果川線・●安山線
●京義本線・●龍山線・●京元本線・●中央本線
●中央本線・●忘憂線・●京春線
●京元本線・●盆唐線・●水仁線
●水仁線1・●京江本線
●京義本線・●西海線
京釜本線・湖南本線
京釜本線
●東海電鉄線・慶全電鉄線1
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